GDNがデマンドジェネレーションキャンペーンに統合へ|移行ツール・変更点・準備の全体像
GDNがデマンドジェネレーションに統合される
Googleは、GDN(ディスプレイキャンペーン)をデマンドジェネレーション(Demand Gen)キャンペーンに段階的に統合すると発表しました。2026年6月から移行ツールの段階的ロールアウトが始まっており、2027年中にすべてのディスプレイキャンペーンがDemand Genへ移行される予定です。
この統合により、Demand GenはYouTube、Discover、Gmailに加え、GDNの300万以上のサイトやアプリにも配信可能になります。Googleの検索以外の主要な配信面をほぼすべてカバーするキャンペーンタイプへと進化する形です。
統合の背景
GDNとDemand Genは、ともに「まだ検索に至っていないユーザー」にリーチする役割を持っています。配信面やターゲティングの重複が増えるなかで、2つのキャンペーンを別々に管理する意味が薄れてきていました。
Googleの社内テストでは、Demand GenにGDNの配信面を追加した場合、コンバージョンが平均16%増加したとされています。配信面の統合により、機械学習の最適化対象が広がることが主な要因です。
移行スケジュール
2025年3月のチャネルコントロール導入から、2027年の完全移行まで、約2年をかけた段階的な移行が進んでいます。
変わること・変わらないこと
統合によって何が変わり、何がそのまま使えるのかを整理します。
変わらない機能
以下の機能はDemand Genでもそのまま利用できます。
ターゲティング:
- リマーケティングリスト
- カスタムオーディエンス
- カスタマーマッチ
- コンテキストターゲティング
広告フォーマット:
- レスポンシブディスプレイ広告
- 静止画アップロード広告
- カルーセル広告
- 商品フィード広告
入札戦略:
- 目標CPA
- コンバージョン数の最大化
- 目標ROAS
- クリック数の最大化
新たに使える機能
Demand Genへの統合により、GDN単体では使えなかった機能が利用可能になります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 配信面の拡大 | YouTube、Discover、Gmail、Googleマップへの配信 |
| 類似セグメント | Lookallikeターゲティングが利用可能 |
| 動画広告 | 動画アセットの追加・配信 |
| フォーマット別レポート | インフィード、インストリーム、ショート等の配信面別数値 |
| 生成AIクリエイティブ | AIによる広告素材の生成ツール |
| 目標CPC | 自動入札ベースのCPC最適化 |
| キャンペーン通算予算 | 期間全体での予算管理 |
使用不可になる機能
一部の機能はDemand Genでは対応していません。代替手段とあわせて確認しておきましょう。
| 非対応になる機能 | 代替手段 |
|---|---|
| 手動CPC入札 | 目標CPC(自動入札) |
| 視認範囲インプレッション入札 | クリック数の最大化 |
| コンバージョン対象支払い | 目標CPA(自動切替) |
| 入札単価調整・季節性調整 | 対応予定なし |
| 結合オーディエンス | オーディエンスビルダーで再定義 |
| HTML5広告 | 2026年後半に対応予定 |
運用メモ 手動CPCで運用しているキャンペーンは、移行前に目標CPCへの切り替えが必要です。初期の目標CPC値は、直近30日間の平均CPCを参考に設定するのが安全です。
移行ツールの使い方
2026年6月から段階的に提供されている移行ツールの手順は以下のとおりです。
移行手順
- Google広告の管理画面でキャンペーン一覧を開く
- フィルターで「ディスプレイ」を選択
- 移行したいキャンペーンにチェックを入れる
- 「Demand Genにアップグレード」を選択
- 「適用」をクリック
処理には数分程度かかります。一度に100件を超えるキャンペーンの一括移行は推奨されていません。
移行ツールを使うメリット
| 項目 | 移行ツール使用 | 手動で新規作成 |
|---|---|---|
| パフォーマンス履歴 | 直近42日分を引き継ぎ | 引き継がれない |
| 再学習期間 | 1〜2日程度 | 通常の学習期間(数日〜1週間) |
| 設定の引き継ぎ | ターゲティング・入札・予算を自動移行 | すべて手動で再設定 |
移行ツールを使えば過去42日間のパフォーマンス履歴が引き継がれ、再学習期間が1〜2日に短縮されます。手動で新規キャンペーンを作成して予算を移す方法もありますが、履歴が引き継がれないため学習期間が長くなります。
チャネルコントロールの活用
統合で気になるのが「GDNだけに配信したい場合はどうなるのか」という点です。
移行ツール使用時の初期設定
移行ツールでGDNキャンペーンを変換した場合、初期状態ではGDNのみがオンになります。YouTube、Discover、Gmail等の他チャネルは移行後に追加する形です。
一方、Demand Genを新規作成する場合は「すべてのGoogleチャネル」がデフォルトで選択されます。GDNのみの配信に絞りたい場合は、作成時にチャネルを手動で変更する必要があります。
配信面の段階的な拡大
チャネルの追加は段階的に行うのが推奨されています。
- まずGDNのみで配信を開始し、パフォーマンスを安定させる
- 1つチャネルを追加(例:YouTube)
- 1〜2週間データを蓄積して効果を確認
- 問題なければ次のチャネルを追加
一度にすべてのチャネルをオンにすると、どの配信面がパフォーマンスに寄与しているか判断しにくくなります。
入札戦略の変更点
手動CPCの廃止
Demand Genでは手動CPC入札が使えません。手動CPCで運用しているキャンペーンは、目標CPC(自動入札)への切り替えが必要です。
目標CPCの初期値は、直近30日間の平均CPCを参考に設定します。設定後の変更は1週間ごとに±15%以内に抑えるのが安定運用のポイントです。
日予算の挙動
目標CPCを含む自動入札では、日予算の最大2倍まで1日に使用される可能性があります。ただし月単位で調整されるため、月間の総支出が予算を大幅に超えることはありません。
アトリビューションウィンドウ
Demand Genはファネル上部の配信面(YouTube、Discover等)を含むため、検討期間が長くなる傾向があります。アトリビューションウィンドウは28日以上に設定することが推奨されています。GDN単体の運用時より長めの設定が適切です。
クリエイティブの注意点
ビジネスロゴが必須
Demand Genではビジネスロゴの設定が必須です。ディスプレイ広告にロゴが未設定の場合、移行ツールがプレースホルダーを自動挿入します。移行後に正式なロゴに差し替えましょう。
広告の再審査
移行後、広告は再審査の対象になります。不承認となった場合はセルフサービスの審査請求が可能ですが、配信停止のリスクを避けるためにも早めの移行が得策です。
動画アセットの追加
Demand Genでは動画アセットも活用できます。ただし、移行直後は既存の静止画アセットでの安定配信を優先し、動画は後から追加する方がリスクが少ないです。
移行のタイミングと優先順位
避けるべきタイミング
移行当日は予算がリセットされ、想定より支出が上振れする可能性があります。以下のタイミングは避けましょう。
- 週末や月末
- 大型キャンペーンやセールの直前
- コンバージョンリフト測定中
週の前半(月〜水曜日)に移行するのが安全です。
移行の優先順位
| 優先度 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 高(先に移行) | 予算が小さいキャンペーン | 影響が限定的で検証しやすい |
| 高 | 手動CPC以外の入札戦略 | 入札の変更が不要 |
| 中 | 中規模のキャンペーン | 小規模での検証結果を踏まえて対応 |
| 低(後回し) | 主力キャンペーン | 十分な検証後に慎重に移行 |
| 低 | 手動CPC依存のキャンペーン | 入札戦略の変更を先に検討 |
| 低 | コンバージョンリフト測定中 | 測定完了後に移行 |
運用メモ 移行後のパフォーマンスは数日間変動しやすくなります。少なくとも1週間はデータを蓄積してから判断しましょう。移行直後のCPAの上昇は再学習によるものであることが多く、数日で安定するケースがほとんどです。
P-MAXとの使い分け
GDN統合後のDemand Genは配信面が大幅に広がるため、P-MAXとの役割分担を明確にしておく必要があります。
| 比較項目 | Demand Gen(統合後) | P-MAX |
|---|---|---|
| 配信面の制御 | チャネルコントロールで選択可能 | 自動(制御不可) |
| クリエイティブ管理 | フォーマット別に設定・検証 | アセット一括投入 |
| ターゲティング | オーディエンスを明示的に指定 | シグナルとして提供 |
| レポート粒度 | フォーマット別レポート対応 | アセットグループ単位 |
| 適したフェーズ | 認知・検討(ファネル上〜中部) | フルファネル |
Demand Genは配信面とターゲティングの制御性が高い点がP-MAXとの差別化ポイントです。特定の配信面での効果検証や、オーディエンスを明確に指定した施策にはDemand Genが適しています。
まとめ
GDNのDemand Gen統合は、Google広告のプラットフォーム再編における大きな転換点です。
今すぐやるべきこと:
- 既存GDNキャンペーンの棚卸し: 手動CPC依存の有無、ロゴ設定の有無、結合オーディエンスの利用状況を確認
- 小規模キャンペーンから移行テスト: 移行ツールを使い、影響の小さいキャンペーンから検証を開始
- 手動CPCの切り替え準備: 直近30日の平均CPCをもとに目標CPC値を算出しておく
- ビジネスロゴの登録: 未登録の場合は正式なロゴを準備
2026年後半にはGDNの新規作成が停止され、2027年には残存キャンペーンが自動変換されます。移行ツールを使えばパフォーマンス履歴を引き継げますが、自動変換時にどこまで引き継がれるかは不透明です。自主的に、計画的に移行を進めることをおすすめします。
デマンドジェネレーションキャンペーンの設計方法やP-MAXとの使い分けについては、デマンドジェネレーションキャンペーンの設計ガイドで詳しく解説しています。
参照元
運用型広告のコンサルタント。Google広告・Meta広告・Yahoo!広告を中心に10年以上の実務経験。