背景と課題
あるフィットネスアプリ事業者が、アプリインストール広告のCPI(Cost Per Install)高騰とインストール後の継続率低下に直面していました。
主な課題は以下の3点です。
- CPIが前年比で40%上昇し、目標の1,200円を大幅に超過
- インストール後7日以内の継続率(リテンション率)が25%と低迷
- Google App Campaignの学習が安定せず、パフォーマンスにばらつきが大きい
改善施策
施策1:コンバージョンポイントの見直し
従来は「インストール」をコンバージョンとして設定していましたが、これを「インストール後の初回ワークアウト完了」に変更しました。
インストールだけのCVでは、アプリを起動しないユーザーや、すぐにアンインストールするユーザーも成果としてカウントされていました。質の高いユーザーを獲得するため、アプリ内の有意義なアクションをCVとして設定しました。
施策2:Google App Campaign for engagement(ACe)の活用
既存のApp Campaignに加え、ACe(App Campaign for engagement)を導入しました。ACeは、すでにアプリをインストール済みのユーザーに対して、アプリ内の特定のアクション(例:有料プランへの登録)を促すキャンペーンです。
新規インストールの獲得だけでなく、既存ユーザーの活性化とLTV向上を狙いました。
施策3:Meta Advantage+ App Campaigns(AAA)への移行
Meta広告では、従来の手動設定のアプリ広告からAdvantage+ App Campaigns(AAA)に移行しました。AAAはターゲティング、配信面、クリエイティブの最適化をMetaのアルゴリズムに任せる仕組みです。
移行にあたって、以下のクリエイティブを用意しました。
| クリエイティブタイプ | 内容 | 本数 |
|---|---|---|
| 動画(15秒) | アプリの利用シーン | 5本 |
| 動画(30秒) | ユーザーの成果紹介 | 3本 |
| 静止画 | 機能紹介 | 10枚 |
| カルーセル | 機能一覧 | 3セット |
施策4:クリエイティブの多様化
アプリ広告のクリエイティブは、「アプリの機能紹介」に偏りがちです。この事例では、以下の3つの訴求軸に分散しました。
- 機能訴求:アプリでできること(ワークアウト記録、食事管理)
- 成果訴求:利用者の変化(「3か月で運動習慣が定着」)
- コミュニティ訴求:仲間と一緒に続けられる仕組み
結果
施策実施から2か月後の結果です。
| 指標 | 改善前 | 改善後 | 変化 |
|---|---|---|---|
| CPI | 1,800円 | 1,100円 | -39% |
| 7日リテンション率 | 25% | 42% | +68% |
| 30日LTV | 2,400円 | 3,800円 | +58% |
| ROAS(30日) | 133% | 345% | +159% |
CPIの改善と同時に、インストール後の継続率とLTVが大幅に向上しました。CV地点をアプリ内アクションに変更したことで、自動入札が質の高いユーザーを獲得するように学習した結果です。
成功要因の分析
CV地点の適切な設定
最も大きなインパクトがあったのは、CV地点の変更です。「インストール」から「初回ワークアウト完了」に変更したことで、自動入札のアルゴリズムが「アプリを実際に使うユーザー」を狙って入札するようになりました。
クリエイティブの多様性
3つの訴求軸でクリエイティブを用意したことで、異なるユーザー層に対して最適な広告が自動選択されるようになりました。特に「成果訴求」のクリエイティブがパフォーマンスが高く、全体のCPIを押し下げる効果がありました。
運用メモ アプリインストール広告のCV地点を「インストール」からアプリ内イベントに変更する場合、一時的にCV数が減少します。自動入札の学習が不安定になる可能性があるため、CV地点の変更と同時に予算を大幅に変更しないでください。2〜3週間の学習期間を経て、パフォーマンスが安定したら予算の調整を検討してください。
運用メモ AAAに移行する際は、十分なクリエイティブの本数を用意してください。Meta公式の推奨は、動画と静止画を合わせて最低5本以上です。クリエイティブの種類が少ないと、アルゴリズムが最適な組み合わせを見つけられず、パフォーマンスが安定しません。この事例では21アセットを用意して移行しています。