何が変わったのか
2026年4月30日、Googleはレスポンシブ検索広告(RSA)向けの新しいアセットタイプ「テキストの免責条項(Text Disclaimers)」を発表しました。AI Maxの1周年に合わせた機能強化の一つです。
テキストの免責条項は、広告のDescription(説明文)部分に法的な開示情報や利用規約を確実に表示するための仕組みです。キャンペーン単位で設定し、一度承認されると、そのキャンペーン内のすべての検索広告に免責条項が表示されます。
この機能の最大の意義は、Final URL Expansion(最終ページURL拡張)との共存にあります。
これまでの課題
規制業種の広告主は、広告に免責文言を含めることが法律やポリシーで義務付けられているケースが多くあります。金融商品の「元本保証なし」の注記、医療広告の「効果には個人差があります」といった文言です。
従来、これらの文言を確実に表示するには、説明文のDescription 1にテキストをピン留め(固定)する方法しかありませんでした。この方法には問題があります。
Final URL Expansionは、AIがユーザーの検索意図に合わせて着地ページを自動で選び直す機能です。AI Maxの中核をなす最適化機能ですが、ピン留めした免責文言がAIの選んだ着地ページと矛盾する可能性がありました。
このため、規制業種の広告主はFinal URL Expansionの利用を見送らざるを得ないケースが多くありました。テキストの免責条項は、この二律背反を解消する機能です。
表示の仕組み
テキストの免責条項は、RSAの説明文セクションの先頭に優先的に表示されます。
表示に関する主なポイントは以下のとおりです。
- 説明文セクションの最初の位置に表示される。ピン留めしたDescription 1よりも優先される
- 全角45文字(半角90文字)が上限。通常の説明文と同じ文字数制限
- 1キャンペーンに1つ設定可能
- 承認されると、そのキャンペーン内のすべてのRSAに表示される
- 広告の充実度スコア(Ad Strength)には影響しない
なお、以下のケースでは免責条項が省略される場合があります。
- ユーザーがアクセシビリティ設定で大きなフォントサイズを使用している場合
- 一部の言語で文字数が多くなる場合
設定手順
テキストの免責条項は手動で設定します。自動で付与される機能ではありません。
注意点として、テキストの免責条項はキャンペーン作成後にのみ追加できます。キャンペーンの初期設定画面からは設定できません。また、広告グループ単位での設定はできず、キャンペーン単位での適用になります。
設定後はアセットレポートでインプレッション数やクリック数を確認できます。免責条項を削除した場合は、ピン留めしたDescription 1(またはAIが選んだ通常の説明文)が代わりに表示されます。
どの業種で活用できるか
すべてのGoogle広告アカウントで利用可能ですが、とくに法的・規制上の開示義務がある業種で効果を発揮します。
| 業種 | 免責条項の例 |
|---|---|
| 金融(ローン・クレジット) | 審査あり。年利○%〜○%(変動金利) |
| 保険 | 保障内容は商品・プランにより異なります |
| 医療・ヘルスケア | 効果には個人差があります。医師にご相談ください |
| 法律サービス | 弁護士との委任契約に基づくサービスです |
| 不動産 | 表示価格は税込。別途諸費用がかかります |
| 教育・資格 | 合格率は受講生の成績により異なります |
日本では薬機法、景品表示法、金融商品取引法、貸金業法などの法規制に対応した免責文言が求められるケースがあります。法務部門と連携して、90文字以内に収まる簡潔な文言を事前に準備しておくとよいでしょう。
ピン留め運用からの移行手順
すでにDescription 1のピン留めで免責文言を管理しているキャンペーンは、以下の手順で移行できます。
- テキストの免責条項を設定し、審査の承認を待つ
- 承認後、ピン留めした免責文言とテキストの免責条項が重複表示されていないか確認する
- 問題なければDescription 1のピン留めを解除する
- Final URL Expansionの有効化を検討する
ピン留めを解除すると、説明文の最適化余地が広がります。AIが検索クエリに応じて最適な説明文を選べるようになるため、クリック率の改善が期待できます。
なお、テキストの免責条項が審査で不承認になった場合は、通常のRSAの説明文がそのまま表示されます。不承認時のバックアップとして、移行直後はDescription 1のピン留めを残しておくのも現実的な判断です。
導入前に確認しておくこと
キャンペーン構成の整理
テキストの免責条項は1キャンペーンに1つしか設定できません。異なる免責文言が必要な商品やサービスが同一キャンペーンに混在している場合、キャンペーンの分割が必要です。たとえば金利が異なるローン商品を1キャンペーンで配信しているなら、商品ごとにキャンペーンを分けることになります。
全角45文字に収まる文言の準備
全角45文字(半角90文字)は想像以上に短い制約です。法務部門が作成した正式な免責文言がそのまま収まらないケースも考えられます。広告用の短縮版を事前に作成し、法的に問題がないか法務の承認を取っておく必要があります。
着地ページの開示義務との関係
テキストの免責条項はあくまで広告テキスト上の表示です。着地ページに記載すべき法的な開示情報(契約条件、手数料、リスク説明など)は、引き続きページ上で適切に掲載する必要があります。広告の免責条項があるから着地ページの開示が不要になるわけではありません。
まとめ
テキストの免責条項は、「コンプライアンスを守りながらAI Maxの恩恵を受ける」ための機能です。規制業種の広告主にとって、Final URL Expansionをはじめとするパフォーマンス最適化機能が使いやすくなる意味は大きいでしょう。
対応すべきアクションはシンプルです。法務と連携して全角45文字(半角90文字)以内の免責文言を準備し、対象キャンペーンにテキストの免責条項を設定し、Final URL Expansionの有効化を検討する。この手順で進めましょう。