Google広告「目標ベースの入札戦略(tCPA/tROAS)」の仕様が変更へ。予算制限のあるキャンペーンは要確認

Google広告の入札戦略を設定したまま、しばらく見直していないキャンペーンはないでしょうか。

2026年6月15日、入札・予算管理に関する3つのアップデートが発表されました。中でも入札ターゲット最適化は8月17日に自動適用されます。予算制限のあるキャンペーンの挙動が変わるため、事前の確認と判断が欠かせません。

この記事では入札ターゲット最適化を中心に3つの変更を整理し、対応方法を解説します。

予算制限キャンペーンの入札はどう最適化されてきたか

今回のアップデートを理解するには、予算制限時のスマート自動入札の挙動を押さえておく必要があります。

目標コンバージョン単価(tCPA)や目標広告費用対効果(tROAS)を設定したキャンペーンに予算の制限がかかると、システムは設定ターゲットどおりには最適化しません。限られた予算の中で可能な限り成果を獲得しようとするため、設定CPAより低い単価でコンバージョンを取るケースが生まれます。この「設定値と実績の乖離」が今回の変更の出発点です。

今回の発表は3つで構成されています。

  1. スマート自動入札の入札範囲拡大機能の対象拡大
  2. ピーク需要期向けのPromotion Mode(日本での機能名は不明)
  3. 入札ターゲット最適化の仕様変更

3つ目は8月17日に入札の挙動が自動的に切り替わるため、対応の優先度が最も高くなります。

スマート自動入札の入札範囲拡大機能(β版)の対象拡大

検索キャンペーン向けに提供されていたスマート自動入札の入札範囲拡大機能(Smart Bidding Exploration)が、P-MAXとショッピング広告にも広がりました。

この機能は、ROAS目標の範囲内で新しい検索クエリに入札する仕組みです。まだコンバージョン実績のないクエリにも試験的にリーチできます。Googleの公式発表によると、ユニークなコンバージョン検索語句が平均18%増加し、コンバージョン数も平均19%増えたと報告されています。

商品フィードを持たないP-MAXにはグローバルで展開済みです。商品フィード付きP-MAXとショッピング広告はベータ版が開始されました。利用はオプションのため、急いで対応する必要はありません。ただしショッピング広告は価格感度が高い傾向があるため、テスト時は不要なインプレッションの増加に注意してください。

Promotion Modeが新登場(β版)

セール期間やピーク時に、入札と予算を一時的に調整できる新機能が登場しました。

事前に期間を指定して、ROAS目標の一時的な引き下げと日次予算の上乗せを設定できます。たとえば通常のROAS目標200%・日次予算10万円を、セール期間中だけ150%・15万円に変更する使い方です。期間終了後は自動で元の設定に戻ります。

既存の「季節性の調整」とは役割が異なる点に注意が必要です。季節性の調整がコンバージョン率の期待値を変えるのに対し、Promotion Modeは入札目標と予算そのものを変更します。両者の併用は可能ですが、相互作用の詳細はまだ公式にドキュメント化されていません。まずはPromotion Mode単体でテストし、効果を確認してから併用を検討するのが安全でしょう。

SearchとP-MAXでベータ版が利用可能です。

入札ターゲット最適化のアップデート

3つの中で最も影響が大きいのがこの変更です。予算制限のあるキャンペーンを運用している場合、確認と判断が必要になります。

何が変わるのか

予算に制限があるキャンペーンでは、設定した目標コンバージョン単価/ROASと実績が乖離することがあります。

たとえば、目標コンバージョン単価を1万円に設定したキャンペーンが、実際には5,000円でコンバージョンを獲得しているケースがあります。予算の制約上、システムがターゲットより効率的に配信している状態です。

8月17日以降、こうしたキャンペーンは設定ターゲットに向けて最適化されるようになります。CPA 5,000円で安定していた実績が、1万円に近づく可能性があるということです。

コンバージョン数が減るケースも想定してください。目標広告費用対効果も同様で、設定200%に対して実績400%だったキャンペーンは200%方向に収束します。結果として、同じ広告費での売上が落ちる点には注意が必要です。

影響を受けるキャンペーンの確認方法

対象は2つの条件を満たすキャンペーンです。

  • 過去12か月で「予算による制限」ステータスになったことがある
  • 目標コンバージョン単価または目標広告費用対効果を使用している

対象キャンペーンタイプは以下のとおりです。AppキャンペーンやVideo Reach/Viewは対象外で、現行どおりの動作が続きます。

対象対象外
検索App
ショッピングVideo Reach/View
P-MAX
デマンドジェネレーション
ディスプレイ
トラベル / ホテル

管理画面のフィルタで該当キャンペーンを抽出し、設定CPA/ROASと直近90日の実績平均を比較してください。乖離が大きいほど、8月17日以降の影響も大きくなります。

4つの対応オプション

7月6日からBid Target Adjustment Toolが提供されます。管理画面の通知バナーまたは該当キャンペーンの設定画面からアクセスできる見込みです。Googleが自動で調整することはないため、広告主側でアクションを取る必要があります。

オプション内容適しているケース
実績に合わせてターゲットを変更設定CPAを実績値に更新現在の効率を維持したい場合
ターゲットを変更しない設定値を据え置き設定値どおりの運用に戻したい場合
カスタム設定事業目標に合った新しいターゲットを指定実績と設定値の間で調整したい場合
入札戦略の変更コンバージョン最大化 / コンバージョン値の最大化に変更ターゲット制約を外したい場合

対応のタイムライン

8月17日の施行まで約2か月。行動できる時間は十分にあります。

時期アクション
今月中予算制限キャンペーンの洗い出しと設定値/実績の乖離を可視化
7月6日〜Bid Target Adjustment Toolで4つの選択肢から対応を入力
8月17日〜施行後1〜2コンバージョンサイクル(2〜4週間)は再最適化期間として変動を許容

スマート自動入札の入札範囲拡大機能とPromotion Modeはオプション機能のため、入札ターゲット最適化への対応を最優先にしてください。まず今月中に乖離状況を確認し、7月6日のツール提供を待って対応を入力する。この2ステップを押さえておけば、8月の施行にも落ち着いて備えられます。

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