この記事でわかること
OpenAIがChatGPT広告の週次アップデートを発表。ChatGPTやCodexから運用できるAds Managerプラグイン、カスタムオーディエンスのメンバー追加・削除・置換と25K/5M制限の緩和、Pixel・Conversions APIのマッチング用フィールド追加、カルーセルのカード指標、トータル予算のペーシング、ビュースルーを含む最適化モデルの予告、欧州・インド・中東北アフリカへの提供開始をまとめます。
生成AIによる要約
OpenAIが2026年9月上旬、広告主向けにChatGPT広告の週次プロダクトアップデートを告知しました。今回はオーディエンス管理の自由度、コンバージョンマッチング、レポート、そして提供地域まで更新されています。運用の土台になる部分が広く動きました。
とくに実務への影響が大きいのは次の3点です。ChatGPTやCodexからキャンペーンを操作できる「ChatGPT Ads Manager」プラグイン、カスタムオーディエンスの下限・上限の緩和、そして欧州・インド・中東北アフリカでの配信開始です。順に整理します。
ChatGPT Ads Managerプラグイン:会話から入稿・診断・レポートまで
ChatGPTまたはCodex上から広告アカウントを操作できるプラグインが提供されました。対象はキャンペーン・広告グループ・広告です。自然言語で指示するだけで、次のような作業ができます。
- WebサイトのURLや簡単なブリーフから、入稿できる状態の広告を作る
- 既存クリエイティブのバリエーションを作る
- キャンペーンの設定を更新する
- 配信されない・伸びないといった配信トラブルの原因を切り分ける
- パフォーマンスを確認し、優先度をつけた改善提案を受け取る
変更は実行前にプレビューされ、適用の可否を確認したうえで反映されます。「勝手に入稿される」構造ではない点は、運用者としてまず押さえておくところです。
利用開始の手順は次のとおりです。
- ChatGPTの「プラグイン」から ChatGPT Ads Manager を追加する
- 広告アカウントを接続する
- 会話を始める
X広告のMCPサーバーと同様、管理画面の外から広告アカウントを触れる導線が媒体側から公式に提供された形です。日次のレポート確認や、配信が止まった原因の一次切り分けなど、定型作業から試すのが現実的です。
カスタムオーディエンス:作り直さずに更新でき、下限・上限も緩和
これまでのカスタムオーディエンスは、リストを差し替えたい場合に作り直しが必要でした。さらにマッチ済みユーザー2万5,000人の下限と、500万メンバーの上限もありました。今回の更新で、この制約が全体的にゆるみます。
| 項目 | これまで | 今回の更新 |
|---|---|---|
| メンバーの更新 | オーディエンスの作り直しが必要 | 追加・削除・置換に対応 |
| 識別子の混在 | 種類ごとに分ける必要 | 同一リクエストで混在可 |
| 2.5万人未満のリスト | 利用不可 | 除外用途なら利用可 |
| 500万メンバー超 | 作成不可 | 作成可 |
| オーディエンスサイズ表示 | 粗いレンジ | より細かいレンジ |
| 識別子の種類 | メール・電話番号など | Google広告ID(GAID)を追加 |
実務でいちばん効くのは「2.5万人未満でも除外に使える」ところです。既存顧客や購入済みユーザーの除外は、リストが小さいほど必要になる場面が多くなります。それなのに下限に届かず、設定できないケースがありました。ここが外れると、少額運用のアカウントでも無駄打ちを削る設計が組めます。
メンバーの追加・削除・置換に対応したことで、日次・週次でのリスト同期も現実的になりました。GAIDの追加は、アプリ側のデータをオーディエンスに使う経路が開いたという意味を持ちます。
運用メモ カスタムオーディエンスは、広告主自身が保有するファーストパーティデータの利用が前提です。リストの購入・レンタルや第三者データの持ち込みは規約上認められていません。同期の自動化を組む前に、社内のプライバシーポリシーと取得同意の範囲を確認しておきましょう。
コンバージョンマッチング用のフィールドが増えた
Measurement Pixel と Conversions API の双方に、マッチング用のフィールドが追加されました。
| 経路 | 追加されたフィールド |
|---|---|
| Measurement Pixel | ハッシュ化した電話番号・名・姓・地域(region)・郵便番号 |
| Conversions API | ハッシュ化したメール・電話番号・外部ID・名・姓・国・市区町村・地域・郵便番号の複数値(リスト形式)、モバイル向けのAndroid GAID |
Conversions API側の「リスト形式」は地味ですが重要です。1ユーザーが複数のメールアドレスや電話番号を持つケースがあります。これまでは1つを選ぶしかありませんでしたが、保有するぶんをまとめて送れます。マッチ率はそのぶん上がります。
Pixel側は、住所系(地域・郵便番号)と氏名が加わりました。Meta広告の詳細マッチングやGoogle広告の拡張コンバージョンと同じ発想です。送る情報を増やすほど、マッチ精度が上がります。
ただし、送信する項目を増やす判断は、計測部門だけで完結しません。 取得済みの個人情報をどこまで送るかは、プライバシーポリシーと利用目的の範囲に照らして決めます。ハッシュ化されるとはいえ、送信自体は行われます。
カルーセル広告ユニットのカード単位指標
商品フィードキャンペーンが複数商品カルーセル形式で配信されたときの指標が増えました。Ads Managerのレポートで、カード単位のインプレッションとクリックを確認できます。公開されているInsights APIでは、商品単位のフィールドも取得できます。
押さえるべきは課金との関係です。
- カルーセルカードのインプレッションは、個々の商品カードがビューアブルになった時点でカウントされる
- このカード単位のインプレッションは課金対象のインプレッションとは別物で、課金対象インプレッションには含まれない
- データが揃うのは2026年8月20日以降、直近30日のローリングで提供
つまり、カード指標をそのままCPMやCTRの分母に使うと数字が崩れます。 カード単位の数字は「どの商品が見られ、どれが押されたか」を判断する材料です。広告ユニット全体の効率を測る指標ではありません。レポートを自動化しているなら、この2つを混ぜない集計になっているか確認しておきましょう。
用途としては、商品フィードの並び順やタイトル・画像の改善に直結します。ビューアブルになっているのにクリックされない商品は、カードのクリエイティブか価格の見せ方に原因があると絞り込めます。
トータル予算にペーシングが入った
キャンペーンのトータル予算(期間全体で使い切る予算)に、消化を期間内で均すペーシングが追加されました。これまでのトータル予算は上限の役割が中心で、序盤に消化が偏ることがありました。
ただしOpenAIは、実際の消化は日々の配信機会に応じて変動しうると明記しています。「毎日きれいに等分される」保証ではありません。日予算がすでに7日間の平均で運用される仕様になっているのと同様、日次の増減は前提として見ておくのが安全です。
効くのはセールや季節施策など、期間を区切るキャンペーンです。開始直後に予算を吸われ、後半に何も出ないという事故は起きにくくなります。
予告:ビュースルーコンバージョンを含めて最適化するモデル
新しいコンバージョン最適化モデルが導入予定であることも告知されました。クリック経由のコンバージョンに加えて、広告の視認(ビュー)経由のコンバージョンも最適化の対象に含めるモデルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最適化の対象 | 広告クリック由来+広告視認由来のコンバージョン |
| 課金方式 | インプレッション課金 |
| 配信の最適化先 | 選択したコンバージョン目標 |
| 提供状況 | 段階的に展開予定、詳細は今後 |
現行のoCPCは「クリック課金のまま、コンバージョンしやすいクリックへ寄せる」方式でした。今回のモデルはインプレッション課金で、コンバージョン目標に最適化します。Meta広告に近い構造です。
ChatGPT広告は、ビュースルーコンバージョンをすでに「VTA(1日)」として独立した列で計測しています。ただしCPAや入札・課金には含まれない扱いでした。今回のモデルは、そこで見えていた数字を最適化の材料に組み込むという位置づけになります。
評価の設計は先に決めておくべきです。 ビュースルーを最適化に含める以上、レポート上のコンバージョン数はクリック経由のみのキャンペーンと比較できません。並走テストをするなら、比較指標をクリック経由CVに揃えるか、ビュースルーを含めた基準に統一するかを先に決めます。決めずに走らせると、結論が出せなくなります。
欧州・インド・中東北アフリカで配信開始
今週から、欧州・インド・中東・北アフリカの対象国でChatGPT広告の提供が始まりました。8月に告知されていた欧州31か国への拡大が、実際に動き出した形です。対象地域にビジネスを持つ広告主は、Ads Managerから直接出稿できます。
OpenAIは同時期に、収益面の数字も公表しました。提供開始から200日未満で、年換算収益10億ドル規模に達したとしています。管理型セールスやエージェンシー経由を含めると40か国以上で利用できる状態です。
日本はすでに配信対象で、2026年6月22日から広告表示が始まっています。今回の拡大は、クロスボーダーで欧州・インド・中東市場を狙う広告主にとって、出稿経路が1つ増えたという意味を持ちます。
実務でのアクションポイント
- 除外リストを見直す: 2.5万人未満のリストが除外に使えるようになったため、既存顧客・購入済み・解約済みなど、これまで下限に届かず設定できていなかったリストを洗い出す
- Pixel・CAPIの送信項目は、送れるかではなく送ってよいかで決める: 追加されたフィールドはマッチ率に効きますが、プライバシーポリシーの記載範囲と取得同意を先に確認する
- カード指標を既存レポートに混ぜない: カルーセルカードのインプレッションは課金対象外です。集計を自動化しているなら、課金インプレッションと分離されているかを確認する
- プラグインは読み取り系から試す: レポート確認や配信トラブルの一次切り分けなど、実害の出ない範囲で挙動を確かめてから、入稿・設定変更に広げる
- ビュースルー最適化に備えて評価軸を決めておく: 提供が始まってから比較方法を考えると、テスト結果が読めなくなります
なお、これらの機能が日本のAds Managerにいつ反映されるかは告知内で明示されていません。管理画面で順次確認することをおすすめします。
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参照元
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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