Microsoft広告のターゲティングが持つ独自性
Microsoft広告のターゲティングは、Google広告やMeta広告にはない特徴を持っています。その中心にあるのが、LinkedInプロフィールデータとの連携です。企業名・業種・職種・職位・企業規模といったビジネス属性でユーザーを絞り込める点は、BtoB領域では大きな強みになります。
ただし、日本のLinkedInユーザー数はまだ限定的です。LinkedInターゲティングだけに頼ると配信ボリュームが不足する可能性があるため、インマーケットオーディエンスや検索ネットワークと組み合わせる設計が現実的です。
LinkedInプロフィールターゲティング
Microsoft広告はLinkedInと提携しており、LinkedInのプロフィールデータを広告配信に活用できます。指定できる属性は以下の4種類です。
| 属性 | 内容 | 活用例 |
|---|---|---|
| 企業名 | 特定の企業に勤めるユーザー | 大手企業の担当者向けに配信 |
| 業種 | IT、金融、製造業など | 業界特化のSaaSやサービスに |
| 職種 | マーケティング、IT、人事など | 担当職種への直接訴求 |
| 企業規模 | 従業員数でセグメント | 中堅〜大企業向けのBtoB商材に |
ただし、LinkedIn属性ターゲティングは単独で絞り込むよりも、検索キャンペーンの「入札調整」として活用するほうが現実的です。たとえば「IT業界の管理職」に入札を20%引き上げる設定にすることで、ボリュームを確保しながら優先度の高い層への配信を増やせます。
インマーケットオーディエンス
インマーケットオーディエンスは、特定のカテゴリに関心を持ち、購入・契約に向けて行動しているユーザーの集まりです。Microsoftが保有するBingの検索履歴、MSNの閲覧履歴、Outlookのメール行動などから推定されます。
カテゴリは「自動車」「ソフトウェア」「ビジネスサービス」など、数百種類にわたります。BtoB向けには「エンタープライズソフトウェア」「クラウドサービス」「ビジネスコンサルティング」といったカテゴリが用意されています。
インマーケットオーディエンスは、検索キャンペーンに「オーディエンスの追加」として重ねる形で使います。意欲の高いユーザーだけ入札を引き上げる、あるいは観察モードで実績を確認してから入札調整を加える、という段階的なアプローチが安全です。
リマーケティングとカスタマーリスト
リマーケティングには、UETタグを通じてサイト訪問者を追跡する仕組みを使います。UETタグは、Microsoft広告のコンバージョン計測とリマーケティングリスト作成の起点となる重要な設置物です。キャンペーン開始前に必ず設置してください。
リマーケティングリストはページ単位で作成できます。「商品詳細ページ訪問者」「料金ページ訪問者」「フォーム到達者(未送信)」のように、関心度の高い行動をしたユーザーをリストに分けると、配信メッセージを使い分けやすくなります。
カスタマーリストは、保有する顧客データ(メールアドレスや電話番号)をアップロードしてオーディエンスを構築する機能です。既存顧客の除外や、既存顧客への追加訴求に活用できます。
検索ネットワークのパートナーサイト
Microsoft広告の検索ネットワークには、Bing本体に加えてパートナーサイトが含まれます。日本では「Yahoo! JAPAN」がパートナーになる場合もあり(時期・条件により変動)、配信面が拡張されることがあります。
パートナーサイトへの配信はキャンペーン設定で制御できます。品質が安定しない場合はパートナーサイトを除外して、Bing本体のみに絞る選択も有効です。
BtoB案件での活用例
IT系SaaSを例に、Microsoft広告でのターゲティング設計を考えてみます。ターゲットが「中堅〜大企業の情報システム部門の担当者」の場合、次のような設計が考えられます。
まずは「ERPシステム 比較」「クラウドERP 導入」のような検索キーワードでキャンペーンを設定します。その上で、LinkedIn属性の「業種:IT」「職種:情報技術」「企業規模:200名以上」に対して入札調整を設定します。インマーケットオーディエンスの「エンタープライズソフトウェア」もオーディエンスとして追加し、まずは観察モードで実績を確認します。
UETタグを設置すれば、資料ダウンロードページ訪問者や問い合わせページ訪問者のリマーケティングリストも作成できます。これらのユーザーへの配信で接触頻度を高め、意思決定を後押しします。
まとめ
Microsoft広告のターゲティングは、LinkedIn連携・インマーケットオーディエンス・リマーケティングの3つを組み合わせることで力を発揮します。特にBtoB商材では、Google広告では実現できない業種・職種ベースの絞り込みが有効です。
配信ボリューム確保のために、まず検索キャンペーンをベースとして設計し、LinkedIn属性は入札調整として重ねるアプローチを推奨します。UETタグは最優先で設置し、リマーケティングリストを早めに育てておくことが重要です。