Microsoft広告の始め方ガイド|Google広告からのインポートと配信面の特徴
Microsoft広告とは
Microsoft広告(Microsoft Advertising)は、Microsoftが提供する広告プラットフォームです。以前は「Bing Ads」という名称でしたが、2019年に現在の名称に変更されました。Bing検索だけでなく、MSN、Outlook.com、Edgeの新しいタブなど、Microsoftのエコシステム全体に広告を配信できます。
日本における検索エンジンのシェアは近年大きく拡大しており、PCではGoogleに次ぐ規模に成長しています。特にB2B領域では、企業PCにEdgeとBingがデフォルト設定されていることが多く、Google広告ではリーチしにくいビジネスパーソン層へのアプローチが可能です。
さらに、2023年以降はMicrosoft Copilotとの統合が進んでいます。AIチャットの回答内にも広告が表示されるようになり、新しい配信面として注目を集めています。
Google広告との違い
Microsoft広告はGoogle広告と同じ検索連動型広告を中心としたプラットフォームですが、いくつかの重要な違いがあります。Google広告との併用を検討する際の判断材料として、主要な比較ポイントを整理しました。
| 項目 | Microsoft広告 | Google広告 |
|---|---|---|
| CPC(クリック単価) | Google比で30〜50%低い傾向(業種による) | 競合が多く高騰しやすい |
| ユーザー層 | 高年齢層・高所得層・B2B寄り | 幅広い年齢層 |
| デバイス比率 | デスクトップ比率が高い | モバイル中心 |
| 検索シェア(日本) | PCで急拡大中 | 全体で最大シェア |
| 自動入札 | コンバージョン最大化・値最大化など主要機能に対応 | 最も機能が豊富 |
| オーディエンス | LinkedIn属性でのターゲティング可 | Google独自のシグナル |
| インポート機能 | Google広告からの直接インポート可 | - |
注目すべきはCPCの低さです。同じキーワードでもGoogle広告に比べてクリック単価が低い傾向にあるため、投資対効果の改善が期待できます。また、LinkedIn属性(業種・職種・企業規模)でターゲティングできる点は、B2B領域では大きな差別化要因です。ただし、日本のLinkedInユーザー数は限定的なため、配信ボリュームが小さくなる場合があります。
ただし、配信ボリュームはGoogle広告に比べて限定的です。Microsoft広告は「Google広告を置き換える」ものではなく、「補完する」位置づけで考えるのが現実的です。
Google広告からのインポート手順
Microsoft広告の大きな特徴の一つは、Google広告のキャンペーンをそのままインポートできることです。ゼロから構築する必要がなく、既存のGoogle広告資産を活用してすばやく配信を開始できます。
インポートの流れ
- Microsoft広告アカウントを開設する: ads.microsoft.comからアカウントを作成します。Microsoftアカウントがあれば数分で完了します
- Google広告アカウントを連携する: Microsoft広告の管理画面から「インポート」→「Google広告からインポート」を選択し、Googleアカウントでログインします
- インポートするキャンペーンを選択する: すべてのキャンペーンをインポートすることも、特定のキャンペーンだけを選ぶこともできます
- 設定を確認・調整する: 入札単価や日予算は、Google広告と同じ値がそのまま入ります。Microsoft広告のCPC相場に合わせて調整しましょう
- 定期インポートを設定する: Google広告での変更を自動で反映するスケジュール(日次・週次・月次)を設定できます
インポート後に確認すべきポイント
インポートしただけで配信を開始するのは避けてください。以下の項目は必ず確認・調整しましょう。
- 入札単価: Google広告のCPC相場をそのまま使うと高すぎる場合があります。まずは70〜80%程度に設定し、配信データを見ながら調整するのが安全です
- 日予算: 検索ボリュームの差を考慮して、Google広告よりも低めに設定します。Google広告の20〜30%程度を目安にスタートするのがよいでしょう
- 広告アセット(旧 広告表示オプション): 一部の広告アセットはインポートされません。サイトリンクや電話番号表示などは手動で追加してください
- UETタグの設置: コンバージョン計測にはMicrosoft独自の「UETタグ(Universal Event Tracking)」が必要です。Googleのコンバージョンタグとは別物なので、忘れずに設置しましょう
アカウント設計のポイント
Google広告の構造をそのままインポートできることは利点ですが、Microsoft広告ならではの特性に合わせた調整も重要です。
UETタグは最優先で設置する
UETタグは、Google広告におけるGoogleタグに相当するものです。コンバージョン計測だけでなく、リマーケティングリストの作成にも使います。サイトの全ページに設置し、コンバージョンページには専用のイベントを設定してください。
GTM(Googleタグマネージャー)経由での設置も可能です。「Microsoft Advertising Universal Event Tracking」タグタイプが用意されているので、設定の手間はそこまでかかりません。
予算は小さく始めて拡大する
Microsoft広告の検索ボリュームはGoogle広告に比べて限定的です。最初から大きな予算を設定すると、1日の早い段階で予算に到達してしまい、効率のよい時間帯に配信できなくなるおそれがあります。
まずはGoogle広告の月額投資額の10〜20%程度を目安に開始し、実績データを見ながら段階的に拡大していくのが現実的です。
LinkedIn属性ターゲティングを活用する
Microsoft広告の独自機能として、LinkedInプロフィールデータに基づくターゲティングがあります。企業名、業種、職種による絞り込みが可能で、B2B商材の場合は特に有効です。
たとえば「IT業界の管理職」にだけ入札を引き上げる、といった設定ができます。Google広告にはない機能なので、B2B案件では積極的に活用しましょう。
Copilot統合がもたらす変化
MicrosoftはAIアシスタント「Copilot」を検索体験の中核に据えています。この動きは、広告主にとっても見逃せない変化です。
Copilotの回答内に広告が表示される
ユーザーがCopilotに質問すると、AIの回答に加えて関連する広告が表示されるケースがあります。従来の検索結果ページとは異なる、会話型の新しい広告表示形式です。
Edgeのサイドバー・新しいタブへの展開
CopilotはEdgeブラウザに統合されており、サイドバーや新しいタブからも利用できます。企業PCではEdgeの利用率が高いため、業務時間中のビジネスパーソンへのリーチが期待できます。
広告運用者にとっての意味
現時点では、Copilot向けに特別なキャンペーンを設定する必要はありません。既存の検索キャンペーンの広告がCopilotの回答にも表示される仕組みです。ただし、AIチャット経由のクリックはユーザーの意図がより明確な傾向があるため、今後のレポートでは流入経路の違いに注目してください。
どんなビジネスに向いているか
Microsoft広告がすべてのビジネスに最適とは限りません。特性を理解して、向き不向きを判断しましょう。
効果が出やすいケース
- B2Bサービス: 企業のPCにEdge/Bingがデフォルト設定されていることが多く、意思決定者層にリーチしやすい
- 高単価商材: ユーザーの平均所得が高い傾向にあるため、高額商品やサービスとの相性がよい
- デスクトップ中心のサービス: SaaSやクラウドサービスなど、PCからの利用が多いサービス
- すでにGoogle広告で成果が出ている場合: インポート機能で効率よく配信面を拡張できる
効果が出にくいケース
- モバイルアプリのインストール促進: デスクトップ比率が高いため、アプリインストールキャンペーンには不向き
- 若年層(10〜20代)がターゲット: Bing/Edgeの利用率が低い層であるため、リーチが限定的
- 配信ボリュームが必要な場合: 検索シェアの差から、大量のトラフィックを必要とするキャンペーンには向きません
まとめ
Microsoft広告は、Google広告を補完する有力な配信面です。CPCが低い傾向にあること、B2Bに強いユーザー層を持つこと、Google広告からのインポートで手軽に始められることが主な利点です。
始め方としては、まずGoogle広告のキャンペーンをインポートし、入札単価と予算を調整して小規模に配信を開始するのがスムーズです。UETタグの設置を忘れずに行い、配信データを見ながら段階的に投資額を拡大していきましょう。
Copilot統合による配信面の拡大も進んでいます。企業PCでのBing/Edge利用は今後も一定の存在感を持つと見込まれるため、特にB2B領域では早めに取り組んでおく価値があります。
参照元
運用型広告のコンサルタント。Google広告・Meta広告・Yahoo!広告を中心に10年以上の実務経験。