動的リマーケティングにフィードが必要な理由
動的リマーケティングは、ユーザーが閲覧した商品や物件を広告にそのまま表示する手法です。汎用バナーと比べて、コンバージョン率が2〜3倍高いという実測データも報告されています。この仕組みを支えているのがデータフィードです。
ショッピング広告ではMerchant Centerにフィードを登録しますが、小売以外の業種では別の仕組みを使います。Google Adsでは「ビジネスデータ」として管理画面からアップロードし、Metaでは「カタログ」として登録する形になります。不動産、旅行、教育、人材など業種ごとに必要な属性が異なるため、業種に合った設計が欠かせません。
Google Adsの業種別フィードタイプ
Google Adsの動的リマーケティングは、小売とは別に8つのフィードタイプを提供しています。フィードタイプはキャンペーン作成時に選択し、以後の変更はできません。
| フィードタイプ | 対象業種の例 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Education | 大学、専門学校、オンライン講座 | 閲覧したコース・プログラムの再表示 |
| Flights | 航空会社、旅行代理店 | 検索した路線・フライトの再訴求 |
| Hotels and Rentals | ホテル、民泊、レンタルスペース | 閲覧した宿泊施設の価格表示 |
| Jobs | 求人サイト、人材紹介 | 閲覧した求人の再表示 |
| Local Deals | 店舗クーポン、地域サービス | 近隣のセール・特典の再訴求 |
| Real Estate | 不動産ポータル、仲介業者 | 閲覧した物件の画像・価格表示 |
| Travel | 旅行代理店、観光サイト | 検索した旅行先の再訴求 |
| Custom | 上記に該当しない業種全般 | 任意の商品・サービスの動的表示 |
フィードの形式はCSV・TSV・XLS・XLSX(UTF-8推奨)に対応しています。1アカウントあたり500万行・100本が上限で、1属性は3,000バイトまでです。列名(ヘッダー)は日本語フィードでも英語表記を維持する必要があります。
業種別の必須属性と推奨属性
すべての業種で共通する必須項目は「一意のID」「表示名」「遷移URL」の3点です。これに加え、業種ごとに推奨属性が異なります。
不動産(Real Estate)
| 属性名 | 必須/推奨 | 説明 |
|---|---|---|
| Listing ID | 必須 | 物件の一意な識別子 |
| Listing name | 必須 | 物件名称 |
| Final URL | 必須 | 物件詳細ページのURL |
| Image URL | 推奨 | 物件の外観・内観画像 |
| Price | 推奨 | 価格または賃料 |
| City name | 推奨 | 所在地の市区町村名 |
| Similar Listing IDs | 推奨 | 類似物件のID(レコメンド拡張用) |
旅行(Travel)/ホテル(Hotels and Rentals)
| 属性名 | 必須/推奨 | 説明 |
|---|---|---|
| Destination ID/Property ID | 必須 | 目的地または施設の識別子 |
| Title/Property name | 必須 | 表示名 |
| Final URL | 必須 | 詳細ページのURL |
| Price | 推奨 | 基本料金 |
| Sale price | 推奨 | セール価格(取消線表示に対応) |
| Star rating | 推奨 | ホテルの星評価 |
| Address | 推奨 | 所在地 |
| Similar Destination IDs | 推奨 | 類似旅行先のID |
教育(Education)/求人(Jobs)
| 属性名 | 必須/推奨 | 対象 |
|---|---|---|
| Program ID/Job ID | 必須 | 教育・求人共通 |
| Program name/Title | 必須 | 教育・求人共通 |
| Final URL | 必須 | 教育・求人共通 |
| School name | 推奨 | 教育 |
| Area of study | 推奨 | 教育 |
| Salary | 推奨 | 求人 |
| Category | 推奨 | 求人(職種分類) |
| Contextual keywords | 推奨 | 教育・求人共通(マッチ精度向上) |
運用メモ Similar IDsやContextual keywordsは、閲覧履歴にないアイテムの推薦に使われます。在庫切れや掲載終了になった物件・求人の代替表示にも有効なため、可能な限り設定してください。
タグとフィードの突合設計
動的リマーケティングが正しく機能するには3つの要素が必要です。ウェブサイトのタグ、ビジネスデータフィード、キャンペーン設定が連動して初めて広告が生成されます。特に重要なのが、IDとgoogle_business_verticalの一致です。
突合に必要な3要素
| 要素 | 役割 | 設定場所 |
|---|---|---|
| ウェブサイトタグ | ユーザー行動とIDを送信 | GTMまたはグローバルサイトタグ |
| ビジネスデータフィード | 商品・物件情報の属性を格納 | Google Ads「ビジネスデータ」 |
| キャンペーン設定 | フィードとビジネスタイプを紐付け | Google Ads キャンペーン設定 |
google_business_verticalの値
タグで発火させるイベントには、業種を示すパラメータが必要です。この値がフィードのビジネスタイプと一致していないと、広告は生成されません。
| 業種 | google_business_verticalの値 |
|---|---|
| 不動産 | real_estate |
| 旅行 | travel |
| 教育 | education |
| 求人 | jobs |
| ホテル | hotel_rental |
| フライト | flights |
| カスタム | custom |
ID不一致の典型パターン
フィードのID列とタグが送るidパラメータが完全一致しないと、広告は表示されません。管理画面に「一致率が低い」アラートが出たら、以下の点を確認してください。
- 大文字・小文字の違い(「ABC-001」と「abc-001」は別物と判定)
- 前後のスペース混入
- 数値型と文字列型の不一致(123と”123”)
- URLエンコードの有無
Metaのカタログとの比較
Metaの動的広告(Advantage+カタログ広告)はGoogle Adsとは設計思想が異なります。両媒体の違いを把握したうえでフィードを設計すると、運用がスムーズになります。
| 比較項目 | Google Ads | Meta |
|---|---|---|
| フィード管理単位 | ビジネスデータ(手動アップロード) | カタログ(CSV/XML/API) |
| 業種選択の方式 | キャンペーン作成時に業種を指定 | カタログ作成時にプロダクトタイプを選択 |
| タグとの突合方式 | IDとgoogle_business_verticalで突合 | Pixelイベントとitems配列で自動突合 |
| リアルタイム更新 | スケジュール取得またはAPI | API/フィードURL定期取得 |
| 特別規制 | なし | 不動産は「HOUSING」カテゴリ指定が必須 |
Metaの旅行広告はHotel・Flight・Destinationの3サブタイプに分かれます。それぞれ独立したカタログを作成する設計です。不動産広告は「特別な広告カテゴリ」の指定が必要で、差別禁止規制への対応としてターゲティングに制限が加わります。
フィード品質の維持と改善
フィードは一度作って終わりではありません。継続的なメンテナンスがパフォーマンスに直結します。更新頻度は最低でも週1回、価格や在庫の変動が大きい業種では日次更新が推奨されます。
よくあるエラーと対処法
| エラー内容 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 一致率が低い | フィードIDとタグIDの不一致 | IDフォーマットを統一する |
| フィードが処理されない | ヘッダーが日本語になっている | 列名を英語に修正する |
| 広告が生成されない | google_business_verticalの未設定 | タグにパラメータを追加する |
| 画像が表示されない | 画像URLの期限切れ・リンク切れ | 固定URLに差し替える |
| 属性値エラー | 3,000バイト上限の超過 | テキストを短縮する |
フィード改善の優先順位
- ID突合率を100%に近づける(最優先)
- 画像URLの有効性を定期的に検証する
- 価格・在庫の更新頻度を上げる
- Similar IDsやContextual keywordsで推薦精度を高める