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アドフラウド対策ガイド|不正クリック・不正インプレッションの仕組みと防止策

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アドフラウドとは

アドフラウド(Ad Fraud)は、広告の表示やクリックを不正に水増しして広告費を詐取する行為の総称です。日本語では「広告不正」や「広告詐欺」とも呼ばれます。

不正なクリックやインプレッションによって、広告主は成果につながらない費用を支払わされます。IAS(Integral Ad Science)の調査によると、全世界のデジタル広告費のうち数%がアドフラウドによって失われているとされています。

日本でもJICDAQ(デジタル広告品質認証機構)が2021年に設立され、業界全体でアドフラウド対策への関心が高まっています。

アドフラウドの主な種類

アドフラウドの主な分類クリック系クリックインジェクションクリックスパム不正なクリックを自動生成・水増しインプレッション系アドスタッキングピクセルスタッフィング見えない広告表示でインプレッションを水増しBot系自動化プログラム行動模倣Bot人間の操作を模倣し閲覧・クリックを偽装ドメイン偽装ドメインスプーフィングads.txtで対策低品質サイトが有名サイトのドメインを詐称

アドフラウドにはさまざまな手法がありますが、大きく分けると以下のカテゴリに整理できます。

クリック系の不正

クリックインジェクションは、不正なアプリがバックグラウンドで広告のクリックを自動生成する手法です。主にアプリインストール広告で問題になります。

クリックスパムは、ユーザーが意図しないクリックを大量発生させる手法です。ユーザーの画面上では見えない広告を裏側に設置し、通常のブラウジング中にクリックを水増しします。

インプレッション系の不正

アドスタッキングは、1つの広告枠に複数の広告を重ねて配置し、表示されていない広告のインプレッションを計上する手法です。

ピクセルスタッフィングは、1×1ピクセルの極小枠に広告を押し込んで表示し、人の目には見えないままインプレッションだけを発生させます。

Botによる不正

自動化されたプログラム(Bot)が人間のブラウジング行動を模倣し、広告の閲覧やクリックを行います。高度なBotはマウスの動きやスクロールまで再現するため、単純なフィルタリングでは検知が困難です。

ドメインスプーフィング

低品質なサイトが、有名サイトのドメインを偽装して広告枠を販売する手法です。広告主はプレミアム媒体に出稿しているつもりが、実際には別のサイトに広告が配信されます。ads.txtの導入は、この対策として生まれた仕組みです。

無効なトラフィック(IVT)の分類

IAB Tech Labの基準では、無効なトラフィック(Invalid Traffic: IVT)を2つのレベルに分類しています。

GIVT(General Invalid Traffic)

データセンターからのトラフィック、既知のBotやクローラーなど、比較的容易にフィルタリングできる無効トラフィックです。Google広告やMeta広告の媒体側フィルターで自動的に除外される部分が多く該当します。

SIVT(Sophisticated Invalid Traffic)

高度な手法を用いた不正トラフィックです。人間の行動を精巧に模倣するBot、マルウェアに感染した端末からの不正アクセス、プロキシを経由した偽装トラフィックなどが含まれます。検知には高度な分析が必要で、第三者ツールの導入が有効になるケースが多いです。

運用メモ Google広告の管理画面で確認できる「無効なクリック」列は、主にGIVTレベルの自動除外分です。SIVTを含む詳細な不正検知を行うには、第三者ツールの併用を検討しましょう。

媒体別の標準対策

各広告媒体には不正トラフィックを検知・除外する仕組みが標準で備わっています。まずはこれらの機能を正しく活用することが対策の出発点です。

Google広告

Google広告には、無効なクリックに対する自動フィルタリング機能が組み込まれています。検知された無効クリックの費用は自動で返金されます。

管理画面の「キャンペーン」タブで列をカスタマイズし、「無効なクリック」「無効なクリック率」を追加すると、どの程度の無効クリックが除外されているかを確認できます。

IPアドレスによる除外設定も可能です。不審なアクセス元が特定できている場合は、キャンペーン設定の「IPアドレスの除外」に登録することで、そのIPからの広告表示を停止できます。最大500件まで設定可能です。

プレースメントの除外も重要な対策です。ディスプレイ広告やP-MAXキャンペーンでは、低品質なサイトへの配信が不正クリックの温床になることがあります。「配信先」レポートを定期的に確認し、不審なプレースメントを除外しましょう。

Meta広告

Meta広告もクリックやインプレッションの品質フィルタリングを自動で実施しています。不正と判断されたイベントは課金対象から除外されます。

Meta広告固有の対策としては、広告アカウントのブランドセーフティ設定があります。インベントリフィルターで配信先の品質レベルを選択でき、「制限付きインベントリ」を選ぶとブランドリスクの高い配信面を回避できます。

Audience Networkへの配信は、不正トラフィックのリスクが比較的高い傾向にあります。CVR(コンバージョン率)が極端に低い場合は、配信面レポートを確認し、必要に応じてAudience Networkの除外を検討してください。

Yahoo!広告

Yahoo!広告にも無効なクリックの自動検知・除外機能があります。ディスプレイ広告では、パートナーサイトの品質管理が行われており、不正が確認されたサイトは配信先から除外されます。

検索広告では、IPアドレスの除外設定はできません。不正クリックが疑われる場合は、Yahoo!広告のサポートに調査を依頼する形になります。

不正クリックを疑うべきサイン

以下のような兆候が見られた場合は、アドフラウドの可能性を調査する価値があります。

特定の時間帯にクリック数が異常に急増しているケース。通常の広告配信では見られないスパイク状のクリック推移は、Bot活動の典型的なパターンです。

クリック率は高いのにコンバージョン率が極端に低いケース。特にディスプレイ広告やAudience Networkで顕著に見られる場合は、不正クリックの影響を疑いましょう。

GA4の直帰率が異常に高い、またはセッション時間がほぼ0秒のトラフィックが多いケース。Botによるクリックは、サイトでの行動がほとんど発生しないため、エンゲージメント指標に表れます。

特定のIPアドレスやデバイスから繰り返しクリックされているケース。GA4のユーザーエクスプローラーやネットワークドメインレポートで確認できます。

運用メモ 「不正クリックかもしれない」と思った時点で、まずGA4やMicrosoft Clarityでそのトラフィックの行動を確認しましょう。セッション録画や行動フローを見れば、人間の操作かBotかの判別がつくことがあります。

第三者アドフラウド対策ツール

媒体の標準フィルタリングだけでは検知が難しいSIVTに対応するため、専用の第三者ツールを導入する選択肢もあります。

主要なツール

ツール名特徴
Spider AF国内シェアが高い。Google・Yahoo!・Meta等に対応。日本語サポートあり
CHEQグローバルで実績が豊富。リアルタイムのBot検知に強み
DoubleVerifyブランドセーフティとアドフラウド検知を統合。大手広告主に多い
IAS(Integral Ad Science)計測・検証の老舗。メディアバイイング全般の品質管理
Human Security(旧White Ops)BotネットのテイクダウンなどBot検知に特化

導入判断の目安

月間の広告費が数百万円を超える規模であれば、第三者ツールの導入を検討する価値があります。ツール利用料は広告費の数%程度が相場で、不正クリックによる無駄な支出と比較して費用対効果を判断しましょう。

小規模な広告アカウントでは、まず媒体の標準フィルタリングとIP除外設定、プレースメント除外を徹底することが現実的です。GA4やClarityでの異常検知を定期的に行い、問題が顕著になった段階でツール導入を検討するステップが合理的です。

BtoB広告で特に注意すべきアドフラウド

BtoB領域では、リード獲得を目的とした広告でのフォーム営業スパムが問題になることがあります。広告経由のフォーム送信がコンバージョンとして計測されるため、機械学習の最適化にも悪影響を及ぼします。

対策としては、フォームにreCAPTCHAを導入すること、ハニーポットフィールド(人間には見えないダミー入力欄)を設置することが有効です。

また、除外登録の依頼フォーム送信をコンバージョンとしてカウントしてしまうケースも見られます。コンバージョン計測の対象となるフォームの定義を明確にし、本来のリードとスパムが混在しないよう設計しましょう。

ads.txt / sellers.jsonによる対策

ads.txtは、Webサイトの広告枠を販売する権限を持つ事業者を公開するための仕組みです。パブリッシャー(メディア運営者)がルートディレクトリにads.txtファイルを設置し、認定された販売者だけが広告枠を取引できるようにします。

sellers.jsonはその補完で、広告の販売者情報を構造化して公開する仕組みです。広告主がサプライチェーンの透明性を確認するために利用します。

広告主としての直接的な対応は不要ですが、ディスプレイ広告やプログラマティック広告を出稿する際に、配信先のサイトがads.txtを適切に設定しているかどうかは、配信品質の判断材料になります。Google広告ではads.txt未設定のサイトへの配信を制限するオプションがあります。

アドフラウド対策のチェックリスト

日常の運用に組み込みやすいチェック項目をまとめました。

  • 管理画面で「無効なクリック」列を表示し、推移を定期的に確認する
  • ディスプレイ広告の配信先レポートを月1回以上チェックし、不審なプレースメントを除外する
  • GA4でセッション時間0秒・直帰率100%のトラフィックソースを確認する
  • IPアドレス除外リストを最新の状態に保つ(Google広告)
  • Meta広告のインベントリフィルターを適切に設定する
  • コンバージョンに至らないクリックの異常なスパイクがないか週次で確認する
  • BtoB広告のフォームにはreCAPTCHAまたはハニーポットを設置する

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