Googleが広告ヘルプで「広告とAIによる概要について」を公開しました。検索結果に表示されるAIによる概要(AI Overviews)に、広告がどう掲載されるのかを説明した内容です。
AIによる概要は、ユーザーの検索行動を変えつつあります。広告主にとっては「自分の広告がどこに、どう出るのか」を正しく理解しておくことが、これからの運用の前提になります。この記事では、公式ヘルプの内容を軸に、関連する公式発表もあわせて整理します。
AIによる概要とは何か
AIによる概要は、検索結果の上部に生成AIが要約を表示する機能です。複数の情報源から要点をまとめ、ユーザーが素早く答えにたどり着けるように設計されています。
Google検索ヘルプによると、提供範囲は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供地域 | 200以上の国と地域 |
| 対応言語 | 85言語以上(日本語を含む) |
| 日本での提供 | 2024年8月から。日本語に対応 |
| ユーザー側のオフ | 設定でオフにはできない |
| 回避方法 | 「ウェブ」フィルターでリンク中心の表示に切り替え可能 |
日本ではすでに日本語のAIによる概要が表示されています。つまり、広告掲載の話は日本の広告主にとっても他人事ではありません。
広告が表示される3つの位置
公式ヘルプでは、AIによる概要における広告の表示位置を3つに整理しています。上部・下部・内部の3種類です。
| 表示位置 | 内容 | 対象地域 |
|---|---|---|
| 上部 | AIによる概要の上に表示 | 200以上の市場 |
| 下部 | AIによる概要の下に表示 | 200以上の市場 |
| 内部 | AI生成コンテンツの中に統合 | 英語のみ・12か国 |
上部・下部への表示は、日本を含む200以上の市場が対象です。既存の検索キャンペーン、ショッピングキャンペーン、P-MAX、アプリキャンペーンが自動的に対象になります。特別な申し込みや追加設定は不要で、すでにこれらを運用していれば掲載機会は自動的に発生します。
一方、AIによる概要の「内部」への統合表示は、現時点で英語のみです。対象は次の12か国で、日本は含まれていません。
オーストラリア、カナダ、インド、インドネシア、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、米国。
日本語クエリでの内部統合広告について、公式な提供時期の言及はありません。日本の広告主が今すぐ意識すべきなのは、まず「上部・下部」への表示だと言えます。
表示のロジックと除外カテゴリ
広告の表示可否は、ユーザーの検索語句とAIによる概要の内容の両方を踏まえて判断されます。オークションを通じて、関連性が高いと判断された広告のみが表示される仕組みです。
ただし、デリケートなカテゴリでは広告は表示されません。公式ヘルプでは次のようなカテゴリを挙げています。
アダルト、アルコール、ギャンブル、金融、ヘルスケア、政治など。
これらの領域を扱う広告主は、AIによる概要での掲載機会が限定される点を理解しておく必要があります。
広告主が知っておくべき2つの制約
オプトアウトはできない
公式ヘルプには、AIによる概要を広告の表示対象から外すことはできないと明記されています。逆に、AIによる概要の中だけに表示させる、という指定もできません。表示面のコントロールは広告主側にはない、という理解が正確です。
レポーティングは「上部広告」に集計される
AIによる概要の中に表示された広告は、レポート上は「上部広告」として集計されます。現時点では、AIによる概要への表示だけを個別のセグメントとして分析するレポートは提供されていません。
つまり「AIによる概要でどれだけ成果が出たか」を単独で切り出すことは、まだできません。効果検証を設計するうえで、この計測の制約は覚えておきたいところです。
Googleが推奨する対応
表示面を選べない以上、広告主にできるのは掲載の質を高める土台づくりです。公式ヘルプは次の施策を推奨しています。
- AIを活用したターゲティング(インテントマッチ、キーワードレス技術)の導入
- スマート自動入札の導入
- 広告クリエイティブの品質への投資
ショッピングキャンペーンでは、フィードの整備が特に重要です。商品説明・価格・プロモーション情報を最新の状態に保ちつつ、画像や動画の数と品質も確保しておく必要があります。
いずれも目新しい施策ではありません。自動化とデータ品質という、これまでの運用の延長線上にある基本の徹底が、そのままAI時代への対応になります。
その先にある「AIモード」への広告
AIによる概要と並んで、Googleは対話型の検索体験「AIモード」への広告掲載も進めています。こちらは公式ブログでの発表が中心です。
Google Marketing Live 2025(2025年5月)で、米国でのテスト開始が発表されました。翌2026年5月のGoogle Marketing Live 2026では、新しい広告フォーマットが公開されています。
| フォーマット | 内容 |
|---|---|
| 会話型ディスカバリー広告 | ユーザーの質問に合わせてGeminiが広告表現をカスタマイズ |
| ハイライトアンサー | AIが生成する推奨リストの中に広告が項目として組み込まれる |
| AIによるショッピング広告 | 文脈に合わせて商品説明文を自動生成 |
| リード向けビジネスエージェント | 広告内のチャットでユーザーが即座に問い合わせ |
AIモードの広告は、現時点で米国での英語対応が中心です。日本での提供時期について、公式な発表はありません。今すぐ対応する話ではありませんが、検索広告の姿が対話型へ向かっている方向性は押さえておきたいところです。
日本の広告主はどう捉えるべきか
ここまでの内容を、日本での状況として整理します。
| 項目 | 日本での状況 |
|---|---|
| AIによる概要(機能自体) | 2024年8月から提供中。日本語対応 |
| 上部・下部への広告 | 対象。日本でも表示されうる |
| 内部への統合広告 | 対象外。英語のみ・12か国 |
| AIモード(機能自体) | 日本展開の公式発表なし |
| AIモード内の広告 | 米国でテスト中。日本は未提供 |
表のとおり、日本で今すでに関係するのは上部・下部への表示です。内部統合とAIモードは現時点で日本語・日本市場の対象外ですが、Googleは対象拡大を進めています。日本語クエリへの展開が公式に示された段階で、あらためて影響を見直す必要があります。
まとめ
- AIによる概要の広告は「上部」「下部」「内部」の3つの位置に分かれる
- 上部・下部は日本を含む200以上の市場が対象。既存キャンペーンが自動対象
- 内部への統合は英語のみ・12か国で、日本は対象外
- AIによる概要からのオプトアウトはできない
- レポートでは「上部広告」に集計され、個別のセグメント分析は未対応
- 推奨対応は自動化とフィード・クリエイティブの品質向上という基本の徹底
- AIモード広告は米国でテスト中。日本での提供は未発表
- 内部統合とAIモードの日本展開は未定。対象拡大の公式発表を継続的に確認する
AI時代の検索広告は、表示面のコントロールから、資産とデータの質の勝負へと重心を移しつつあります。まずは足元の運用の質を高めておくことが、最も確実な備えになります。