この用語集の位置づけ
SIGNALZには広告指標や計測、検索広告、SNS・動画広告に特化した用語集がすでにあります。この記事では、それらではカバーしていないマーケティング全般の用語を整理します。
広告運用の実務でも、クライアントや社内の企画チームとの会話で登場する頻度が高い用語を中心に選びました。
戦略フレームワーク
STP(Segmentation・Targeting・Positioning)
市場を細分化(セグメンテーション)し、狙う顧客層を選び(ターゲティング)、その顧客に対してどう位置づけるかを決める(ポジショニング)フレームワークです。広告のターゲティング設計や訴求軸を決める際の上位概念にあたります。
3C分析(Customer・Company・Competitor)
顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の3つの視点から市場環境を分析するフレームワークです。広告提案の前段で「なぜこの媒体で、この訴求なのか」の根拠を整理する際に使います。
SWOT分析
自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理するフレームワークです。3C分析の結果をSWOTに落とし込み、戦略の方向性を導き出す使い方が一般的です。
PEST分析
Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの外部環境要因を分析するフレームワークです。プライバシー規制の強化やAI技術の普及など、広告業界に影響を与えるマクロ環境の変化を捉える際に役立ちます。
4P(Product・Price・Place・Promotion)
マーケティングミックスとも呼ばれます。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の4要素で施策を設計するフレームワークです。広告はPromotionの一部に位置づけられます。
4C(Customer Value・Cost・Convenience・Communication)
4Pを顧客視点に置き換えたフレームワークです。「何を売るか」ではなく「顧客にとっての価値は何か」から発想する点が特徴です。広告のメッセージ設計で訴求軸を顧客目線に変換する際の参考になります。
購買行動モデル
AIDMA
Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の5段階で購買プロセスを説明するモデルです。1920年代に提唱された古典的なモデルですが、テレビCMなどマス広告の効果を考える際に今でも使われます。
AISAS
電通が2005年に提唱したモデルです。Attention → Interest → Search(検索)→ Action → Share(共有)の5段階で構成されます。インターネット以降の「検索してから買う」「買った後に共有する」という行動をモデル化しています。
DECAX
Discovery(発見)→ Engage(関係構築)→ Check(確認)→ Action → eXperience(体験共有)の5段階です。コンテンツマーケティングの文脈で使われ、企業が情報を届けるのではなく、顧客自身が発見するところから始まる点が特徴です。
ファネルと顧客理解
ファネル(Funnel)
顧客が認知から購入に至るまでのプロセスを漏斗の形で表現したモデルです。上部(TOFU: Top of Funnel)は認知層、中部(MOFU: Middle of Funnel)は検討層、下部(BOFU: Bottom of Funnel)は購入層に対応します。広告施策をファネルのどの段階に対応させるかを整理する際に使います。
ペルソナ(Persona)
自社のターゲット顧客を具体的な人物像として描いたものです。年齢や職業、課題、情報収集の手段などを設定し、広告のクリエイティブ設計やメッセージの方向性を揃える基準として使います。
カスタマージャーニー(Customer Journey)
顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用に至るまでの体験全体を時系列で可視化したものです。各接点(タッチポイント)での顧客の行動・感情・課題を整理し、どの段階でどの施策を打つかを設計します。
MQL / SQL
MQL(Marketing Qualified Lead)はマーケティング施策を通じて獲得した見込み顧客のうち、一定の基準を満たしたリードです。SQL(Sales Qualified Lead)は営業が商談可能と判断したリードを指します。BtoBマーケティングではMQLからSQLへの転換率が重要な指標になります。
TAM / SAM / SOM
TAM(Total Addressable Market)は理論上の最大市場規模、SAM(Serviceable Available Market)は自社がアクセス可能な市場、SOM(Serviceable Obtainable Market)は現実的に獲得可能な市場規模です。広告の投資対効果を議論する際の前提条件として使われます。
顧客管理とマーケティング施策
CRM(Customer Relationship Management)
顧客との関係を管理し、長期的な関係構築を目指す手法・システムの総称です。広告で獲得した顧客のLTV最大化や、リピート促進に関わります。Salesforce、HubSpotなどのツールが代表的です。
MA(Marketing Automation)
マーケティング活動の一部を自動化するシステムです。リードのスコアリング、メール配信の自動化、ナーチャリングシナリオの実行などが主な機能です。広告で獲得したリードを育成し、営業へ引き渡すプロセスを効率化します。
LTV(Life Time Value / 顧客生涯価値)
1人の顧客が取引期間全体を通じてもたらす利益の合計です。広告の許容CPAを算出する際の基準値として使われます。LTVが高い商材ほど、初回獲得時のCPAを高く設定できます。
CAC(Customer Acquisition Cost / 顧客獲得コスト)
1人の新規顧客を獲得するためにかかった総コストです。広告費だけでなく、営業人件費やツール利用料なども含みます。LTV÷CACの比率が3倍以上であれば健全とされることが多いです。
チャーンレート(Churn Rate / 解約率)
一定期間内に解約・離脱した顧客の割合です。サブスクリプション型ビジネスでは特に重要な指標です。チャーンレートが高い状態で広告投資を増やしても、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じ構造になります。
NPS(Net Promoter Score)
「この商品・サービスを友人にすすめますか」の質問に対する回答から算出される顧客ロイヤルティの指標です。推奨者(9〜10点)の割合から批判者(0〜6点)の割合を引いた値で表します。ブランドリフト調査の指標として使われることもあります。
RFM分析
Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3軸で顧客をスコアリングする手法です。高スコア顧客への優先的なアプローチや、離反予兆の検出に活用します。
コンテンツとメディア
トリプルメディア(Owned / Earned / Paid)
情報発信チャネルをオウンドメディア(自社管理メディア)、アーンドメディア(口コミ・PR)、ペイドメディア(広告)の3つに分類するフレームワークです。運用型広告はペイドメディアに該当しますが、3つのメディアの連携が施策全体の効果を左右します。
コンテンツマーケティング
顧客にとって価値のある情報を継続的に提供し、信頼関係を構築するマーケティング手法です。ブログ記事、ホワイトペーパー、動画、ウェビナーなどが主な形式です。広告で集客した先のコンテンツ体験が、コンバージョン率に直結します。
SEO(Search Engine Optimization / 検索エンジン最適化)
検索エンジンの自然検索結果で上位表示を目指す施策の総称です。広告(ペイド検索)と合わせてSERP全体のカバレッジを設計する際に、有料・無料の両面から検索面を押さえる考え方が重要です。
リードジェネレーション(Lead Generation)
見込み顧客の情報(メールアドレスや氏名など)を獲得する活動です。ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナー登録、資料請求フォームなどが代表的な手段です。BtoB広告では直接的な購入ではなく、リードジェネレーションをコンバージョンポイントに設定するケースが一般的です。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)
獲得したリードに対して情報提供を重ね、購買意欲を高めていくプロセスです。MAツールを使ったメール配信やスコアリングによる自動化が一般的な手法です。
ブランドと評価指標
ブランドエクイティ(Brand Equity)
ブランドが持つ無形の資産価値です。認知度、知覚品質、ブランド連想、ブランドロイヤルティなどで構成されます。広告のKPIを短期的な獲得指標だけでなく、ブランド資産の蓄積という長期的な視点で評価する際の基盤となる概念です。
ブランドリフト(Brand Lift)
広告接触によるブランド認知や好意度の変化を測定する調査手法です。広告に接触したグループと非接触グループを比較し、認知度や購入意向の差分を算出します。Google広告やMeta広告のプラットフォーム内でも実施可能です。
SOV(Share of Voice)
特定の市場やカテゴリにおける、自社の広告出稿量が全体に占める割合です。SOVが市場シェアを上回ると中長期的にシェアが拡大するという「SOVの法則」が知られています。
USP(Unique Selling Proposition)
自社の商品・サービスが競合と差別化できる独自の強みです。広告のコピーやクリエイティブの中核メッセージとして機能します。USPが明確でないまま広告を出稿しても、顧客に選ばれる理由が伝わりません。
バリュープロポジション(Value Proposition)
顧客に提供する価値を一文で表現したものです。USPが競合との差別化に焦点を当てるのに対し、バリュープロポジションは顧客が得られる便益そのものに焦点を当てます。ランディングページのファーストビューに置くメッセージの土台になります。
データ基盤と指標設計
KGI / KPI / KSF
KGI(Key Goal Indicator)は最終的な目標指標、KPI(Key Performance Indicator)はプロセスの評価指標、KSF(Key Success Factor)は目標達成に不可欠な成功要因です。広告運用では売上・利益をKGIに置き、CPA・ROASなどをKPIに設定する構造が一般的です。
ROI(Return on Investment / 投資利益率)
投資額に対するリターンの割合です。(利益−投資額)÷投資額×100で算出します。ROASが広告費に対する売上の倍率であるのに対し、ROIは利益ベースで投資効率を評価する点が異なります。
CDP(Customer Data Platform)
複数のチャネルから収集した顧客データを統合・管理するプラットフォームです。広告・CRM・Webサイト・実店舗など、散在するデータを一元化し、統合的な顧客理解を可能にします。
DMP(Data Management Platform)
主にサードパーティデータを収集・管理し、広告配信のターゲティングに活用するプラットフォームです。サードパーティCookieの廃止に伴い、CDPへの移行が進んでいます。
PMF(Product Market Fit)
商品やサービスが市場のニーズに合致している状態を指します。PMFが達成される前に広告投資を拡大しても、獲得効率が悪化しやすい傾向があります。広告運用の前提として、プロダクト側の準備状況を確認する際に使われる概念です。