この記事でわかること
競合と同じ強みを並べたバナー、AIで量産して似通った広告文。訴求の横並びに悩む運用者に向けて、ホテルプロデューサー龍崎翔子さんの『クリエイティブジャンプ』の読みどころを、章立てと公開情報から整理します。
生成AIによる要約
競合の広告を並べてみると、「送料無料」「最短翌日お届け」「満足度95%」と、どこも同じ強みを掲げている。自社のバナーも、気づけば同じ言葉を並べている。訴求の横並びは、多くの運用者が一度はぶつかる壁です。
生成AIで広告文やバナーを量産できるようになり、この悩みはむしろ深くなりました。同じ材料から作れば、似たものが出てくるからです。
この記事は、読者の課題から選ぶ本の紹介です。出版社の紹介、章立て、公開されている書評や対談をもとに、運用者の視点で読みどころを整理します。今回取り上げるのは、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんによる『クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術』(文藝春秋、2024年)です。
どんな本か
著者は東京大学在学中に起業し、株式会社水星の代表として全国でホテルや産後ケア施設を手がけています。この本は、その事業づくりの考え方をまとめた初めての著書です。
著者はnoteで、この本を「経営資源が限られた状況の中で、爆発的な成果を生み出していくための思考のフレームワーク」と説明しています。扱う事例として挙げているのは、価格競争に陥ったホテルを指名で選ばれる施設に変えた話や、閑散期の温泉旅館を旅の目的地に変えた話などです。
最初にお伝えしておくと、これは広告運用の本ではありません。ホテルや旅の事業を題材にした、企画と発想の本です。ここから先の運用への当てはめは、筆者の読み替えとして読んでください。
章立て
全8章で、各章に副題が付いています。
- クリエイティブジャンプとは何か:非連続な思考が生み出す課題解決の力
- 本質をディグる:アセットの再定義で価値を生む
- 空気感を言語化する:世の中のムード・土地のセンスを読み解く
- インサイトを深掘りする
- 異質なものとマッシュアップする:常識を裏切るアイディア発想法
- 誘い文句をデザインする:人口に膾炙する物語の生み出し方
- 感覚的なものをどう宿らせるか:五感・時間・世界観の仕立て方
- ユートピアのつくり方:クリエイティブジャンプのその先へ
出版社の紹介文は、読みどころとして次の4点を挙げています。
- 「アセットの再定義」法でホテルの可能性を広げる
- 「インサイトの深掘り」が生んだ、温泉旅館の逆転大ヒットプランの秘密
- 「異質なものとマッシュアップ」する、常識を裏切るアイディア発想法
- 「どう発信するか」から「どう発信していただくか」への転換
以下で紹介する各章の具体的な中身は、この紹介文と、観光業界メディア「やまとごころ.jp」の書評記事によるものです。第7章と第8章の具体的な内容は、公開情報からは確認できませんでした。
「良さ」ではなく「違い」を言葉にする
横並びの悩みにいちばん近いのが、第3章「空気感を言語化する」です。書評記事によれば、この章では土地の「良さ」ではなく「違い」に目を向けて言葉にすることの大切さが語られています。
筆者の読み替えを添えると、広告の訴求が横並びになるのは、自社の「良さ」を探しているからかもしれません。良さは、競合も同じように持っています。違いは、比べないと見つかりません。競合の広告を並べ、どこも言っていないことを探す作業が、訴求開発の出発点になりそうです。
自社の資産を「見立て」直す
第2章「本質をディグる」の副題は「アセットの再定義で価値を生む」です。書評記事によれば、著者はホテルを単なる寝床ではなく、別のものに見立てて捉え直していきます。その先に「ホテルはメディアである」という考え方が出てきます。
運用者にとっての「アセット」は、商品の特徴や実績、レビュー、店舗、スタッフなどです。筆者の解釈ですが、同じ商品でも、何に見立てるかで訴求の軸は変わります。「高機能な掃除機」ではなく「週末の2時間を取り戻す道具」と見立てれば、比べられる相手も変わります。
「思わずしてしまう」行動からインサイトを探す
第4章「インサイトを深掘りする」は、出版社の紹介文で温泉旅館の逆転大ヒットプランの秘密として触れられている章です。書評記事は、人が「思わず○○してしまう」無意識の行動のスイッチを探る章だと紹介しています。例として挙がっているのは、空港に置かれたガチャガチャです。
ペルソナの属性をいくら細かく書いても、訴求の手がかりにはなりにくいものです。筆者の読み替えですが、ユーザーが無意識にとっている行動から入ると、刺さる一言が見つかりやすくなります。
掛け合わせで、似通った案から抜け出す
第5章「異質なものとマッシュアップする」は、良いアイデアは掛け合わせでできている、という考え方の章だと紹介されています。
筆者の考えでは、生成AIで作った広告が似通うのは、同じ指示から同じ方向の案が出るためです。掛け合わせる相手を意図的に変えると、出てくる案の幅が変わります。AIに渡す指示に「異質な何か」を1つ足す、という使い方もできそうです。
「発信する」から「発信してもらう」へ
第6章「誘い文句をデザインする」にあたる内容として、出版社の紹介文は「どう発信するか」から「どう発信していただくか」への転換を挙げています。
これは広告運用というより、口コミやPRの領域の話です。ただ、筆者の解釈では、広告で伝える言葉を選ぶときにも役立ちます。ユーザーが人に話したくなる一言になっているか、という基準で訴求を見直せるからです。
広告クリエイターとの対談から
刊行後、文藝春秋のWebメディア「本の話」に、著者と古川裕也さんの対談が掲載されています。古川さんは電通でクリエイティブの責任者を務めた人物です。本の本文ではなく対談での発言ですが、広告に関わる人には参考になる話が出てきます。
対談の中で古川さんは、新しさとはカテゴリーの歴史的な文脈から少しだけずらすことで、そのずれは3ミリで十分、300ミリずらすと誰にも伝わらない、という趣旨の話をしています。また、考える範囲はできるだけ狭くする、確実に勝てる方法はないが勝率を上げる方法はある、とも語っています。
筆者の読み替えを添えると、訴求の横並びから抜け出そうとして、まったく違う方向へ振り切る必要はないということです。競合がみな同じことを言っているなら、その文脈を踏まえたうえで少しだけずらす。本の副題にある「3ミリ」は、広告の現場の感覚にも近い距離だと考えられます。
こんな運用者に向いている
- 競合と同じ訴求しか思いつかず、バナーや広告文が横並びになっている
- 生成AIで作った案が似通い、発想の幅を広げたい
- 商品の特徴を並べるだけの訴求から抜け出したい
逆に、広告の設定や運用の手順を知りたい場合には向きません。発想の型を仕入れる本として読むのが合っています。
関連記事
この記事をシェア
参照元
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
SIGNALZの記事はAIを活用して作成し、10年以上の運用型広告の実務経験をもとに内容を確認・監修しています。制作方針の詳細はサイトについてをご覧ください。
Google検索の優先ソースにSIGNALZを追加
追加すると、Google検索のトップニュースでSIGNALZの記事が見つけやすくなります。AIモードとAIによる概要でも「優先」バッジが付きます。設定はいつでも解除できます。