バナーの議論が「好き嫌い」で止まるなら|『ネット広告クリエイティブ“打ち手”大全』で運用者の判断軸をつくる

この記事でわかること

バナーやLPの改善が担当者の感覚頼みになり、デザインの好みで議論が止まる。そんな運用チームの課題に向けて、『ネット広告クリエイティブ“打ち手”大全』の読みどころを目次の打ち手から整理します。2022年刊の本を2026年に読むときの注意点も添えます。

生成AIによる要約

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新しいバナーを見せた瞬間、「なんとなく地味じゃない?」「この色は好きじゃない」と意見が割れる。結局、声の大きい人の好みで決まる。運用チームで、こうした場面は珍しくありません。

入札やターゲティングの自動化が進むほど、成果の差はクリエイティブでつきやすくなります。それなのに、バナーやLPの改善は担当者の感覚に頼ったままになりがちです。

この記事は、読者の課題から選ぶ本の紹介です。目次と公開されている情報をもとに、運用者の視点で読みどころを整理します。今回取り上げるのは、辻井良太さんと宝田大樹さん(CRAFT株式会社)の『ネット広告クリエイティブ“打ち手”大全』です。

どんな本か

2022年11月にインプレスの「できるMarketing Bible」シリーズから出た本です。バナーとLPの制作を中心に、成果に直結する「打ち手」を77個収録しています。

構成は5章です。前提と方針、コピーライティング、バナー、ランディングページ、媒体別攻略の順に並びます。第1章の冒頭には「これから注力すべきはクリエイティブ一択!」「新しい仮説は機械学習には作れない」という打ち手が置かれています。自動化の時代に運用者がどこで差をつけるか、という問題意識が出発点です。

「好き嫌い」を「型と指標」に置き換える

この本の目次を見て目立つのは、「型」という言葉の多さです。コピーの章にも、バナーの章にも、LPのテストの章にも「成果を狙える〇〇には『型』がある」という打ち手があります。

バナーの型として挙がっているのは、次の5つです。

  • とにかく王道な「キャッチコピー型」
  • 利用シーンを切り取る「UI/UX型」
  • ひと目で価値を伝える「比較型」
  • チラシのように訴求する「テキスト型」
  • 顕在層へのリタゲに効く「クチコミ型」

コピーでは、リアルイメージ型、ターゲット絞込型、指摘型、比較型、共感型、感情移入型の6つの型が並びます。

もう1つの軸は指標です。バナーの章には「バナーの成否でまず重視すべきはCTR」という打ち手があります。

ここからは筆者の読み替えです。型と指標の2つがあると、議論の土台が「好きか嫌いか」から離れます。「この案は比較型で、狙いは顕在層のCTR」と言えれば、意見が割れても何を検証すればよいかが決まります。デザインの良し悪しで止まっていた会議を、テストの設計に進めるための共通言語として使えそうです。

テストの回し方まで打ち手に落ちている

もう1つの読みどころは、テストの進め方が細かい打ち手に分かれている点です。目次には、次のような見出しが並びます。

  • 横展開時の変数は1要素に絞る
  • 最初の入稿は5本程度に絞る
  • 顕在層でのテストで勝ちバナーを見つける
  • 「有意差が出るまで待つ」は間違い
  • CVが少なくてもテストはできる
  • ヒートマップはテスト案の宝庫

LPの章には「A/Bテストはチームを動かす切り札」という打ち手もあります。

筆者の読み替えを添えると、ここが属人化を解く部分です。「何本出すか」「何を変えるか」「いつ判断するか」が決まっていれば、担当者が変わっても同じ手順でテストを回せます。本文の具体的な基準は本で確かめてください。ここで紹介できるのは見出しまでです。

運用者とデザイナーの間をつなぐ

バナーの章には、デザイナーとの協業に関わる打ち手も並びます。「過去の実績をデザイナーに共有せよ」「良い写真素材の入手も運用者の仕事」「運用者が持つべきデザインの引き出し」「バナーは配信面とセットで考えろ」などです。

運用者は数字を持っていて、デザイナーは表現の技術を持っています。この2つが分断されたままだと、いくら作っても学びが次の制作に活きません。どの型が、どの配信面で、どのくらいのCTRだったか。その実績を渡すことが運用者の役割だ、という立場の本だと読めます(筆者の解釈)。

2022年の本を2026年に読むときの注意

刊行から4年近くたっているため、今の環境とずれている部分があります。

Googleオプティマイズは2023年9月に提供を終えています。 LPの章には「A/Bテストツールは迷わずオプティマイズ」など、このツールを前提にした打ち手があります。テストの考え方はそのまま使えますが、ツールは別のものに置き換えて読む必要があります。

媒体別攻略の章は、変化の影響を最も受けます。Twitterは現在のXです。P-MAXも刊行後に機能が大きく変わり、検索キャンペーンにはAI最大化設定も加わりました。媒体ごとの設定は、最新の公式ヘルプとあわせて確認してください。

一方で、コピーとバナーの型、要素の優先順位、テストの進め方といった考え方は古くなりにくい部分です。この本の価値の中心は、そちらにあると考えます。

こんな運用者に向いている

  • バナーやLPの良し悪しを、チームで同じ言葉で話せていない
  • クリエイティブのテストを回しているが、手順が担当者ごとにばらばら
  • デザイナーに「もっと良くして」としか伝えられていない

逆に、媒体ごとの最新の設定方法を知りたい場合は、この本より公式ヘルプのほうが向いています。

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ryottaman

ryottaman

広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。

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