この記事でわかること
完全一致・フレーズ一致キーワードの検索キャンペーンがAIモードにテキスト広告を配信するテストが始まりました。これまでのAI面の適格条件との違い、公表されていない点、配信面の割り当てがキャンペーンタイプからクエリの意図へ移る意味を考察します。
生成AIによる要約
完全一致・フレーズ一致のキーワードを使う従来型の検索キャンペーンが、AIモードにテキスト広告を配信するテストが始まりました。Search Engine Landが2026年9月7日に報じています。これまでAIモードへの配信は、P-MAXやAI Max、部分一致を使うキャンペーンが中心でした。本記事では確認できた事実と未公表の点を分けて整理し、構造の変化として何が起きているのかを考察します。
何が変わったのか|制限的なマッチタイプもAIモードの対象に
Search Engine Roundtableによると、この動きは広告主のAnthony Higman氏が自身のキャンペーンで気づいたものです。表面化したのは2026年9月4日でした。Google Ads LiaisonのGinny Marvin氏はこれを認め、「最近始めた小規模な実験」だと説明しています。
Search Engine Landの記事では、要点が次のように整理されています。
- 対象は、完全一致・フレーズ一致のキーワードを使う従来型の検索キャンペーン
- 配信されるのはテキスト広告で、Highlighted Answerなどの新フォーマットは対象外
- Googleがユーザーの意図を「明確で直接的」と判断したクエリに限られる
Marvin氏はLinkedInで、完全一致・フレーズ一致のキーワードがAIモードでテキスト広告を配信できると述べています。ただしSearch Engine Landによれば、対象はGoogleが明確で直接的なユーザーの意図を認識した場合に限られます。マッチタイプを緩めずにAIモードへ届く可能性が生まれる一方、届く範囲はGoogle側の意図判定に委ねられます。
これまでのAI面の適格条件
今回のテストの位置づけを見るには、AI面ごとの前提を並べておく必要があります。AIによる概要(AI Overviews)とAIモードでは、そもそも適格の考え方が違います。
| 配信面 | 対象となるキャンペーン | 広告主側の制御 |
|---|---|---|
| AIによる概要の上部・下部 | 検索、ショッピング、P-MAX、アプリが自動的に対象 | オプトアウト不可 |
| AIによる概要の内部 | 同上(12か国で英語のみ、日本は対象外) | オプトアウト不可 |
| AIモードのテキスト広告 | P-MAX、AI Max、部分一致×スマート自動入札 | 公式情報は未確認 |
| AIモードの新フォーマット | P-MAX、AI Max(検索・ショッピング) | 公式情報は未確認 |
AIモードのテキスト広告について、Marvin氏は2026年6月10日のSearch Engine Landのインタビューで説明しています。部分一致のキーワードを使うキャンペーンは、AIによる概要とAIモードの両方に引き続き適格だという内容でした。つまりAI Maxは必須条件ではありません。緩いマッチングを許容しているかどうかが、実質的な条件だったことになります。
なおAI Maxは、日本語ヘルプでは「検索キャンペーン向け AI 最大化設定」と表記されています。
今回のテストは、この条件に完全一致・フレーズ一致を加えるものです。一方で新フォーマットは、引き続きP-MAXとAI Maxに限られます。2026年5月のGoogle Marketing Liveで発表されたHighlighted Answerなどが該当します(Googleの日本語ブログでも英語表記のままで、管理画面の日本語表記は未確認です)。
Googleは会話型の複雑な検索を、AI MaxとP-MAXの領域と位置づけています。従来型の検索キャンペーンは、意図の明確な検索に紐づくテキスト広告として扱う整理です。役割分担そのものは保たれています。
公表されていない点
このテストについて、Googleは多くを明かしていません。記事執筆時点で確認できないのは次の4点です。
- 実験の規模と対象地域: 「小規模な実験」以上の説明はなく、恒久的な機能になるかも未定です
- レポートでの見え方: AIモード経由の指標を分けて見られるのかは、今回の報道では触れられていません
- 検索語句レポートへの反映: AIモード内のやり取りがどう記録されるかは未確認です
- 日本での提供: AIモード自体は2025年9月9日に日本語対応しましたが、テキスト広告の日本配信について公式発表はありません
なお2026年5月のGoogle Marketing Liveで発表された新フォーマットについては、Googleの日本語ブログが「日本国内における導入時期および展開詳細につきましては、現時点では未定な情報も含まれています」と注記しています。今回のテキスト広告のテストは、この注記が指す範囲とは別の話です。
2番目については、前例から推測はできます。Marvin氏は2026年6月のインタビューで、AI面の広告の集計方法に触れていました。AIによる概要やAIモードの広告は上部の他の広告とまとめて集計され、内訳は提供されないという説明です。今回のテストも同じ扱いになる可能性がありますが、公式な確認は取れていません。
考察|線引きがキャンペーンタイプからクエリの意図へ移った
ここからは筆者の見解です。今回の実験は小さな話に見えますが、配信面の割り当ての考え方が変わる兆しだと捉えています。
1. 「AI面に出たければAI商品を使う」という前提が崩れる
これまでのAI面への配信は、広告主の選択と結びついていました。P-MAXを選ぶ、AI Maxを有効にする、部分一致に広げる。いずれも広告主が能動的に取る判断です。裏返せば、完全一致に絞る運用はAI面から距離を置く選択でもありました。
今回のテストは、その距離を広告主の判断とは別のところで詰めるものです。設定を変えていないキャンペーンが、Googleの意図判定によってAIモードに現れます。判断の主語が広告主からGoogleへ移った、と言い換えられます。
2. AIモードの広告在庫は、まだ相当に空いている
背景として、AIモードの規模と収益化のずれがあると見ています。AlphabetのQ2 2026決算では、2025年10月のグローバル展開以降、AIモードの月間アクティブユーザーが10億人を超えたと説明されました。一方でSE Rankingは2026年6月末に、米国の商用キーワード50,032件を調べています。広告が表示されたのは14,733件で、29.45%にとどまりました。
商用意図のあるクエリでも、7割は広告が出ていない計算です。面は急拡大したものの、埋める広告の供給が追いついていない状態だと読めます。既存の検索キャンペーンの需要をそのまま流し込むのは、供給を増やす手段として自然です。
この見方が正しければ、実験の行き先は縮小ではなく拡大だと考えるほうが妥当です。
3. AI Maxへの移行方針と矛盾しない
GoogleはAI Maxへの移行を進めています。2026年9月からは、自動生成アセットとキャンペーンレベルの部分一致設定が自動アップグレードされます。2027年2月には動的検索広告の移行も予定されています。従来型キャンペーンをAI面に通すことは、一見この流れに逆行して見えます。
ただし今回配信されるのはテキスト広告だけです。新フォーマットはAI MaxとP-MAXに残されたままです。従来型キャンペーンに割り当てられたのは、明確な意図のクエリでテキスト広告を出す役割に見えます。会話型の複雑な検索と新フォーマットは、AI商品の側に置かれたままです。棲み分けを保ったまま在庫を埋める設計だと理解すると、矛盾はありません。
運用への影響|マッチタイプは制御装置から意図のラベルへ
実務への影響として大きいのは、完全一致が配信面を絞る手段にならなくなることです。
これまで完全一致は、キーワードと配信面の両方を絞る役割を持っていました。今後は「このキーワードの意図は明確である」という広告主側の申告に近づきます。どの面に出すかの決定はGoogle側にあり、広告主が指定できるのは意図の解像度だけです。マッチタイプの役割が、制御装置からラベルへ変わると考えています。
もう1つは、成果の変化が観測しづらい形で入ってくる点です。レポートが分離されないなら、AIモード経由のクリックは既存の指標に混ざります。CTRやコンバージョン率が動いたとき、AI面の増加によるものか、他の要因によるものかを切り分けられません。
現時点で取れる観測方法は、間接的なものに限られます。完全一致だけで構成した広告グループについて、インプレッション数と検索語句レポートに現れる合計との差を継続して見ておく方法があります。差が広がるようなら、レポートに載らない経路が増えた可能性を疑う材料になります。日本での提供が始まっていない以上、いま急いで手を打つ話ではありませんが、基準値を先に取っておくと後で比較できます。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変更内容 | 完全一致・フレーズ一致の検索キャンペーンがAIモードにテキスト広告を配信するテスト |
| 判明時期 | 2026年9月4日に広告主が発見しGinny Marvin氏が確認。Search Engine Landは9月7日に報道 |
| 適用条件 | Googleがユーザーの意図を「明確で直接的」と判断したクエリに限る |
| 対象外 | Highlighted Answerなどの新フォーマット(引き続きP-MAX・AI Maxのみ) |
| 規模・地域 | 「小規模な実験」とのみ説明。恒久化するかも未定 |
| レポート | 今回の報道では言及なし。AI面の広告は上部広告に合算される前例がある |
| 日本での提供 | AIモードは2025年9月に日本語対応。テキスト広告の日本配信は公式発表なし |
まず試すべき1アクション: 完全一致・フレーズ一致で運用している主要キャンペーンについて、いまのインプレッション数、CTR、検索語句レポートの網羅率を控えておいてください。日本で配信が始まったとき、変化を切り分けるための基準値になります。
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参照元
- Google tests traditional Search campaigns in AI Mode - Search Engine Land
- Google Ads Tests Serving Search Ads With Restrictive Match Types In AI Mode - Search Engine Roundtable
- Ginny Marvin clarifies AI Max, AI Search ads and what advertisers should prioritize after GML - Search Engine Land
- AI 検索時代における次世代の広告戦略 - Google Japan Blog
- SE Ranking - Google AI Mode Ads Study
- Q2 2026 earnings call: Remarks from our CEO - blog.google
- Upgrade Dynamic Search Ads to AI Max for Search campaigns - blog.google
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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