この記事でわかること
Google広告で、小売業者やショッピングモールが持つファーストパーティのオーディエンスを、出店ブランドや販売者と共有できる「コマース オーディエンスの共有」のヘルプが公開されました。仕組み、アカウントのリンク手順、使えるキャンペーンの制約、日本での利用可否の見通しを整理します。
生成AIによる要約
Google広告に、小売業者やショッピングモールが持つオーディエンスを、出店しているブランドや販売者に共有する仕組みが加わりました。機能名は「コマース オーディエンスの共有」です。Google広告ヘルプに解説ページが公開され、Search Engine Landが2026年10月8日(米国時間)に報じました。
リテールメディアでは、小売業者の購買データを広告に使えることが大きな価値とされます。これまでGoogle広告でブランドが使えたのは、主に自社で集めたデータでした。今回の機能で、小売業者側のセグメントをGoogle広告の中でそのまま受け取れるようになります。
一方で、使える範囲ははっきり限定されています。本記事では、仕組みとリンクの手順、そして運用前に知っておきたい制約を整理します。
何ができるようになったのか
ヘルプでは、関係する2者を次のように呼び分けています。
| 呼び方 | 想定される事業者 | この機能での役割 |
|---|---|---|
| コマース パートナー | 小売業者、ショッピングモール、マーケットプレイス | 自社のファーストパーティ データ セグメントを共有する |
| 広告パートナー | ブランド、販売者 | 共有されたセグメントをキャンペーンのターゲティングに使う |
コマース パートナーは、共有するセグメントと共有先を自分で選べます。広告パートナーは、共有されたセグメントと自社のファーストパーティデータを組み合わせて配信できます。ヘルプには、この機能がGoogle広告で使えるすべてのオーディエンス タイプに対応していると書かれています。
たとえば、モールの「直近にベビー用品を購入した会員」のセグメントを、出店しているベビー用品ブランドが使う、といった使い方が想定されます。ブランドが自社だけでは作れないセグメントを、モールの許可の範囲で使える点が要点です。
使う前に押さえたい3つの制約
ヘルプの「留意点」には、次の3つが明記されています。運用への影響が大きいのは、1つ目と2つ目です。
- 共有されたオーディエンスは、コマース メディア ネットワーク キャンペーンでのみ使える
- 共有されたオーディエンスを使うキャンペーンは、承認済みのドメイン(コマース パートナーのサイト)に誘導する必要がある
- 広告パートナーが使えるのは、コマース パートナーが共有を指定したオーディエンスだけ
1つ目の制約により、普段運用している検索、ショッピング、P-MAXのキャンペーンに、共有セグメントを足すことはできません。Search Engine Landも、通常のキャンペーンに自動で広げられない点を制約として挙げています。
2つ目の制約により、ブランドの自社ECサイトに誘導する配信には使えません。この機能は、あくまでモールや小売業者のサイトでの販売を伸ばすためのものです。モールへの出店と自社ECを併用しているブランドは、キャンペーンを目的ごとに分けて考える必要があります。
両者に見えるデータ
共有を始めると、両者はそれぞれ次の情報にアクセスできるようになります。
| 立場 | アクセスできる情報(ヘルプの記載) |
|---|---|
| コマース パートナー | キャンペーンのパフォーマンス指標(インプレッション、クリック、コンバージョンに関連する成果と費用の指標など) |
| 広告パートナー | 共有されたセグメントの詳細(セグメント名、顧客タイプ、リストのサイズ、メンバーシップ登録状況など)と、コマース パートナーのウェブサイトのコンバージョン データ |
ブランドにとっては、モール内で発生したコンバージョンを自分の管理画面で確かめられる点が実務上の利点です。一方で、モール側には自社キャンペーンの費用と成果が見える点も理解しておく必要があります。
アカウントのリンクと共有の手順
この機能を使うには、広告パートナーのGoogle広告アカウントを、コマース パートナーの2つのアカウントにリンクします。1つはGoogle Merchant Centerアカウント、もう1つは広告データ共有アカウントです。リンクの招待はコマース パートナーから届き、広告パートナーが承認します。
広告パートナー側:リンクを承認する
- [ツール]メニューの[データ マネージャー]に移動する
- [接続されたプロダクト]で[Google Merchant Center]を探し、[管理とリンク]を選ぶ
- [受信済み]タブでリクエストを確認し、[承認]を選ぶ
- 同じ画面で[広告パートナー]を探し、2〜3と同じ手順でデータ共有のリンクを承認する
データ共有アカウントへのリンクを承認すると、パートナーから報告される購入などの新しいコンバージョン アクションが作成されます。リンクを承認しても、コマース パートナーに自社のGoogle広告アカウントへの直接アクセスが付与されるわけではありません。
既存のコンバージョン設定に新しいアクションが加わるため、承認後は[目標]のコンバージョン アクション一覧を確認してください。メインのアクションとして入札に使うかどうかは、自社の最適化方針に合わせて判断します。
コマース パートナー側:オーディエンスを共有する
- [ツール]メニューの[オーディエンス マネージャー]に移動する
- 共有するデータ セグメントのチェックボックスをオンにする
- 青いバーの[パートナーと共有]から[共有]を選ぶ
- リンクがアクティブな広告パートナーの一覧から共有先を選び、[次へ]で内容を確認して[共有]を選ぶ
共有中のセグメントには、名前の横に[共有]バッジが付きます。共有をやめるときは、同じ手順で[共有を停止]を選びます。
広告パートナー側:キャンペーンに追加する
- [ツール]メニューの[オーディエンス マネージャー]で、[共有]バッジが付いたセグメントを探す
- チェックボックスをオンにし、青いバーの[追加先]から追加するキャンペーンとターゲティング設定を選ぶ
- [オーディエンス セグメントを追加]を選ぶ
なお、オーディエンスの種類ごとの要件はそのまま適用されます。たとえばカスタマーマッチのセグメントを共有する場合、コマース パートナーと広告パートナーの両方が、カスタマーマッチの使用条件を満たしている必要があります。
誰が使えるのか
この機能は、Googleの「コマース メディア」の取り組みの一部です。ヘルプによると、コマース メディア スイートを使えるのは参加している販売者に限られます。広告パートナーは、利用しているコマース パートナーか、Google広告のアカウント担当者に問い合わせる形です。
Googleは2025年6月18日の公式ブログで、コマース メディア スイートをベータ版として提供すると発表していました。そこでは、商品カタログの共有に関するマーケットプレイスの例として、Shopee、Rakuten、Flipkartが挙がっています。ただし、この記述は日本での提供を示すものではありません。
コマース オーディエンスの共有のヘルプには、日本語版を含め、対象国の記載がありません。日本語のヘルプがあることは、日本で使えることを意味しません。日本の小売業者やモールが参加しているかどうかは、2026年10月9日時点で公式情報からは確認できませんでした。
運用者が今できること
日本のブランドや販売者にとって、この機能をすぐに使える場面は限られます。それでも、次の点は今のうちに確認しておく価値があります。
- 出店しているモールや取引のある小売業者が、Googleのコマース メディアに参加しているかを担当者に確認する
- データ マネージャーの[受信済み]タブに、見覚えのないリンクのリクエストが届いていないか確認する
- 参加している場合は、モール向けと自社EC向けで、キャンペーンと予算を分けて設計する
モールや小売業者の側にとっては、自社の会員データを広告商品として提供する新しい選択肢になります。リテールメディア全体の考え方は、関連記事で解説しています。
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参照元
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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