新興リテールメディアが増えている背景
リテールメディアは、Amazonや楽天のような大手ECだけの領域ではなくなっています。フリマアプリ、フードデリバリー、コンビニ、スーパーなど、新しいプレイヤーが次々と参入しています。
共通する強みは、各社が持つ購買データと生活者との接点です。実際の購買行動を軸にしたターゲティングや、購買に近い場所での広告表示を実現できます。
一方で、メニューや対応範囲は変化が速い領域です。数値や名称は日付とあわせて捉え、公式情報で最新を確認する姿勢が欠かせません。
市場規模の捉え方
新興プレイヤーを検討する前提として、市場規模の見方を整理します。日本のリテールメディア市場には2系統の統計があり、定義が異なります。
CARTA HOLDINGSとデジタルインファクトの調査は、ECと店舗を含む広義の定義です。2024年実績は4,692億円(前年比125%)で、2028年には約1兆845億円と予測しています(出典日2025年1月23日)。
電通「日本の広告費」は、物販系ECプラットフォームの出店広告費に絞った狭義の定義です。2025年は2,444億円(前年比112.5%)でした(出典日2026年3月5日)。
メルカリAds
メルカリAdsは、フリマアプリのメルカリが提供する広告事業です。2025年2月に本格的に開始されました。
配信面は、メルカリのアプリ外に配信するオフサイト(Product広告・Infeed広告)と、アプリ内のオンサイトで構成されます。課金はクリック課金型で、1クリック1円からとされています。
2026年初には、ホームのレコメンド枠にディスプレイ広告の枠を新設する動きが伝えられています。二次流通ならではの購買データと接点を持つ点が特徴です。
Uber Eats Ads
Uber Eats Adsは、フードデリバリーのアプリ内で展開する広告です。アプリ内のスポンサードリスティングや、注文完了後に表示される広告などがあります。
日本では、300を超えるコンビニやスーパーとの連携が進んでいるとされています。食品や日用品を扱う商材と相性がよい接点です。
注文という購買行動の近くで広告に接触できる点が強みです。デリバリー利用者の行動データを活かした配信が可能になります。
コンビニ・スーパーのデジタルサイネージ
店舗に設置されたデジタルサイネージも、リテールメディアの重要な接点です。来店客に対し、購買のすぐ近くで広告を届けられます。
各社の展開状況は次のとおりです。名称や店舗数、事業の開始時期は更新されやすいため、日付とあわせて捉えてください。
| プレイヤー | 主な取り組み | 補足(時点) |
|---|---|---|
| ファミリーマート | FamilyMartVision | 全国約10,800店舗(2026年2月末時点)、「ファミマTV」への改称を2026年4月に予定 |
| セブン-イレブン | デジタルサイネージの拡大 | 電通・サイバーエージェントとの合弁「セブン-イレブン・アドコネクト」を2026年9月に事業開始予定 |
| イオン | iAEONとWAON POINTの統合構想 | アプリとポイントの購買データ連携を軸に検討が進む |
活用を検討するときの視点
新興リテールメディアを検討する際は、自社の商材と各接点の相性を起点にします。どこで、どんな購買データを持つ層に届けたいかを整理します。
日用品や食品であれば、コンビニのサイネージやフードデリバリーが候補になります。二次流通の購買層に届けたいなら、フリマアプリが選択肢です。
なお、個別事例で示される突出したROASなどの数値は、あくまで一事例として捉えることが重要です。自社の条件でそのまま再現できるとは限りません。効果測定の考え方はリテールメディアの効果測定ガイドで解説しています。
まとめ
- リテールメディアはフリマアプリ、フードデリバリー、コンビニ、スーパーなど新興プレイヤーへ広がっている
- メルカリAdsは2025年2月開始のフリマアプリ発の広告事業で、オフサイトとオンサイトを持ち二次流通データが強み
- Uber Eats Adsは注文行動の近くで配信でき、コンビニ・スーパーとの連携が進んでいる
- 店舗サイネージは購買に近い接点だが、各社とも展開途上で名称や時期は更新されやすい
- 市場規模は2系統の統計で定義が異なり、個別事例の突出値は一事例として扱う