この記事でわかること
Google Cloudから「新しいデフォルト バージョンが適用される前に Cloud Build 構成をテストしてください」という通知が届いています。Cloud Buildのリリース チャンネル導入で、ビルドを動かすワーカーのDockerとOSが新しくなります。変更点、影響が出やすい構成、事前テストの手順を公式ドキュメントをもとに整理します。
生成AIによる要約
Google Cloudの利用者に「[推奨処理] 新しいデフォルト バージョンが適用される前に Cloud Build 構成をテストしてください」という通知が届いています。Cloud Buildにリリース チャンネルという仕組みが入り、ビルドを実行するワーカーの標準環境が2027年3月28日に切り替わるためです。
広告運用の現場でも、サーバーサイドGTM(sGTM)をCloud Runで動かしていたり、Cloud Functionsでレポート集計を自動化していたりする方は少なくありません。本記事では、何が変わるのか、どんな構成で影響が出やすいのか、切り替え前にどう試せばよいのかを、公式ドキュメントをもとに整理します。
何が変わるのか|ワーカーのDockerとOSが新しくなる
Cloud Buildのビルドは、Google側が用意した仮想マシン(ワーカー)の上で動きます。今回の変更は、このワーカー自体のソフトウェア構成を対象にしたものです。
公式ドキュメント「Cloud Build のリリース チャンネル」によると、2027年3月28日までは legacy が標準で使われ、それ以降は regular チャンネルが標準になります。2026年10月6日時点で公開されているリリースは次の2つです。
| リリース | 対象チャンネル | 構成 | サポート期限 |
|---|---|---|---|
legacy | なし(旧環境) | Docker Engine 20.10、Debian 11 | 2028年3月31日 |
2026.09 | rapid、regular、stable | Docker Engine 29、Debian 13 | 2029年9月30日 |
DockerはEngine 20.10から29へ、OSはDebian 11から13へと、2世代以上の更新になります。普段は意識しない土台の部分ですが、差分は小さくありません。
チャンネルは3種類あり、新しいリリースが出たときに追従する速さが違います。
| チャンネル | 更新のタイミング | 位置づけ |
|---|---|---|
regular | 新バージョンの公開から4週間以内 | 標準。セキュリティ コンプライアンス上の推奨 |
rapid | 常に最新バージョン | 最新の修正をすぐ受けられるが、処理が壊れる可能性もある |
stable | 年1回(通常は2月) | 新機能より安定性を優先 |
変わらないもの|ビルドステップの中身は対象外
公式ドキュメントは「リリース チャンネルは、基盤となるワーカー VM ホスト環境のみを管理します」と明記しています。ビルドステップで使うコンテナの中のソフトウェアは、引き続き利用者が管理するものです。
たとえばビルドステップで node:20 や python:3.12 のイメージを指定している場合、その中身は今回の変更で変わりません。gcloudのバージョンやサービスアカウントの設定も、今回の切り替えの対象ではありません。
影響が出やすい構成
ホスト側だけの変更なので、多くのビルドはそのまま動くと考えられます。ただし、ビルドステップがホストのDockerを直接操作する構成では注意が要ります。ここからは、公式ドキュメントに個別の記載がない、筆者の推測を含む整理です。
Dockerの公式リリースノートには、Docker Engine 29.0で次の変更が記載されています。
- デーモンが受け付けるAPIはバージョン1.44以降(Docker v25.0以降)になり、古いクライアントは拒否される
- 新規インストールでは、containerdのイメージストアが標準になる
- cgroup v1が非推奨になる(少なくとも2029年5月まではサポート継続)
1つ目は特に確認しておきたい点です。ビルドステップで古いDocker CLIのイメージ(例:docker:20.10)を固定し、ホストのDockerデーモンに接続してイメージをビルドしている場合、新環境では接続を拒否される可能性があります。また、Debian 11を前提にしたスクリプトをホスト側の挙動に依存させている場合も、見直しの対象になります。
一方で、ビルドステップが自分のコンテナの中で完結している場合は、影響は小さいと見込まれます。いずれにしても推測の域を出ないため、実際にテストビルドを1回流して確かめるのが確実です。
運用メモ Cloud RunやCloud Functionsのソースからのデプロイ(
gcloud run deploy --sourceなど)も内部でCloud Buildを使います。ただし、こうしたビルドが今回のチャンネル切り替えの対象になるのか、利用者がチャンネルを指定できるのかは、2026年10月6日時点の公式ドキュメントでは確認できませんでした。Firebase と App Engine についても同様に記載はありません。sGTMをCloud Runに載せている場合は、Cloud Buildの履歴に自分のプロジェクトのビルドが残っているかを先に見ておくと、影響範囲の当たりをつけられます。
事前テストの手順
切り替え日を待たずに、新しい環境を指定してビルドを試せます。指定する場所は3つあります。
| 指定する場所 | 書き方 | 補足 |
|---|---|---|
| ビルド構成ファイル | options の下に workerRelease: regular | デフォルトプールのみ |
| コマンドライン | gcloud builds submit --worker-release=regular | デフォルトプールのみ。構成ファイルの指定より優先される |
| プライベートプール | gcloud builds worker-pools update に --worker-release を付ける | プール側の設定が常に優先され、構成ファイルやコマンドラインでは上書きできない |
regular のようなチャンネル名のほか、2026.09 のようにバージョンを直接指定することもできます。ビルド構成ファイルに書く場合は、次のようになります。
steps:
- name: "gcr.io/cloud-builders/docker"
args: ["build", "-t", "IMAGE_NAME", "."]
options:
workerRelease: regular
テストの進め方としては、次の順序が現実的だと考えます。
- Cloud Buildの履歴で、どのトリガーやビルドが動いているかを洗い出す
- 影響の小さいビルドから
--worker-release=regularを付けて手動で実行し、成功するか確認する - 問題がなければ、ビルド構成ファイルに
workerRelease: regularを書き足して本番のトリガーに反映する
テストで失敗した場合は、workerRelease: legacy を明示すれば当面は旧環境のまま使えます。ただし legacy のサポートは2028年3月31日で終わるため、延命は修正までの時間を稼ぐ手段と考えるのが妥当です。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変更内容 | Cloud Buildにリリース チャンネルが導入され、標準のワーカー環境が切り替わる |
| 切り替え日 | 2027年3月28日(legacy → regular) |
| 新しい環境 | 2026.09:Docker Engine 29、Debian 13(サポートは2029年9月30日まで) |
| 旧環境 | legacy:Docker Engine 20.10、Debian 11(サポートは2028年3月31日まで) |
| 対象範囲 | ワーカーVMのホスト環境のみ。ビルドステップのコンテナの中身は対象外 |
| 注意したい構成 | 古いDocker CLIでホストのDockerを操作するビルドなど(筆者の推測) |
| 未確認の点 | Cloud Run・Cloud Functionsのソースデプロイ、Firebase、App Engineへの適用範囲 |
まず試すべき1アクション: Cloud Buildの履歴を開き、直近で動いているビルドを1つ選んで --worker-release=regular を付けて再実行してください。成功すれば、そのビルドは切り替え後もそのまま動く見込みが高いと判断できます。
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参照元
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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