この記事でわかること
チャネルや参照元の増減を訪問数で並べると、売上に影響しない変化を課題と取り違えます。売上の増減で並べ替える手順と、訪問数・購入率・単価への分解、GA4の「Unassigned」が増えたときにMerchant Centerのsrsltidを疑う方法を、実例をもとに解説します。
生成AIによる要約
訪問数の増減は、そのまま課題にならない
月次レポートで流入を振り返るとき、チャネルや参照元ごとの訪問数を前月と比べることがよくあります。大きく減ったチャネルがあれば、課題として挙げたくなります。しかし、訪問数の増減は、そのまま売上の増減を意味しません。
筆者があるECサイトの月次の数字をまとめたときのことです。訪問数で並べると、他サイトのリンクからの訪問が大きく減っており、最大の課題に見えました。ところが売上で並べ直すと、このチャネルの売上はほぼ横ばいでした。減っていたのは、ウェブメディアの記事から来て、購入にはほとんどつながっていなかった訪問だったのです。
売上で並べ直すと、減少がいちばん大きかったのは自然検索でした。訪問数だけで見ていたら、対策の優先順位を取り違えるところでした。
本記事では、流入を売上で評価する手順と、その際に気をつけたい計測の落とし穴を整理します。
売上の増減で並べ替える
GA4で並べる
GA4では、「トラフィック獲得」レポートで、チャネルごとのセッション数と収益を並べて見られます。期間を比較に設定し、チャネルごとの売上の増減額を出して、その大きい順に並べ替えます。訪問数の増減は、補足の列として添えます。
収益の指標は、目的に合わせて選びます。GA4の指標の定義によると、「総収益」は購入のほか、サブスクリプションや広告掲載による収益も含みます。物販の売上だけを見たい場合は、購入による収益を見ます。探索レポートやData APIでは、この指標を選べます。
増減を3つに分解する
売上の増減が大きいチャネルが見つかったら、原因を分解します。チャネルごとの売上は、次の掛け算で表せます。
売上=訪問数×購入率×平均の購入単価
訪問数が減ったのか、購入率が落ちたのか、単価が下がったのかで、打ち手は変わります。訪問数が減っていなくても、購入率が落ちていれば、着地しているページや商品の問題かもしれません。
流入元でないものを除く
売上を比べる前に、流入元とは言えない参照を除いておきます。代表的なのが、外部の決済サービスの画面から戻ってきた訪問です。この訪問は参照元として記録されると、購入の直前に来たため、多くの売上が付いて見えます。比較の表に混ざっていると、実際の流入元の売上が小さく見えてしまいます。
「Unassigned」が増えていたら、まず計測を疑う
売上で並べたときに、もう1つ確認したいのが「Unassigned」の行です。GA4のヘルプによると、Unassignedは、どのチャネルの条件にも当てはまらなかった訪問です。この行の売上が急に増えていたら、どこかのチャネルの訪問が正しく振り分けられていない可能性があります。
筆者が見つけた原因:srsltid
先ほどのECサイトでは、Unassignedの売上が前年から大きく増えていました。BigQueryにエクスポートしたデータで、ページのURLを調べました。すると、Unassignedの訪問の多くに srsltid というパラメータが付いていました。
srsltid は、Google Merchant Centerの自動タグ設定が付けるパラメータです。ヘルプによると、オンラインショップにつながるGoogle検索の商品がクリックされると、URLに付加されます。自動タグ設定は、アカウントを新規に作成すると、既定で有効になります。
このサイトでは、ある時期から、Google検索の通常の検索結果からの訪問にも srsltid が付くようになっていました。そのうち、参照元が記録されないまま着地した訪問が、Unassignedに入っていました。これらを自然検索に戻して数え直すと、自然検索の売上は減っておらず、ほぼ横ばいでした。
つまり、冒頭で「減少がいちばん大きかった」とした自然検索の売上も、実際には大きく減っていなかったことになります。参照元が記録されなかった理由は、筆者が調べた範囲では特定できていません。
確認の手順
自社のサイトで同じことが起きていないかは、次の手順で確かめられます。
- GA4のトラフィック獲得レポートで、Unassignedの訪問数と売上の推移を見る
- 急に増えた時期があれば、BigQueryのエクスポートデータで、Unassignedの訪問の着地URLに srsltid が含まれるかを数える
- 含まれる割合が高ければ、その訪問をGoogle検索からの訪問として数え直し、チャネル別の売上を補正する
なお、URLだけでは、通常の検索結果からの訪問か、無料リスティングからの訪問かは区別できません。筆者の事例では、両方をまとめて自然検索に戻して数えました。
注意点が2つあります。1つは、GA4のData APIでは確かめられないことです。筆者が確認した範囲では、着地ページのURLを取得しても srsltid が含まれていませんでした。URLのパラメータまで確かめるには、BigQueryのエクスポートデータを使います。
もう1つは、BigQueryで長い期間をさかのぼると、処理するデータ量が大きくなることです。まずは各月から数日を抜き出して傾向を見てから、必要な期間を集計すると安全です。
運用メモ GA4のカスタムチャネルグループで、srsltid 付きの訪問を自然検索に振り分けられないかも試しました。しかし筆者が確認した範囲では、条件にページのURLを使えませんでした。補正は、BigQueryで集計するときに行うのが現実的です。
期間のそろえ方と組み合わせる
売上で比べるときも、期間のそろえ方は欠かせません。日数や曜日の構成が違う期間を比べると、チャネルの売上は施策と関係なく動きます。直近の期間は、コンバージョンがまだ入りきっていないこともあります。
- 期間のそろえ方は前月比・前年比をそのまま比べないで解説しています
- 数字が確定するまでの日数は広告レポートの数字はいつ確定するのかで解説しています
流入を評価する前のチェックリスト
- チャネル別の訪問数と売上(購入による収益)を並べて取得したか
- 並べ替えは、売上の増減額の順にしたか
- 決済サービスの戻りなど、流入元でない参照を除いたか
- 売上の増減が大きいチャネルを、訪問数・購入率・単価に分解したか
- Unassignedや (not set) の売上が急に増えていないか
- 比べる2つの期間の日数・曜日・確定の度合いはそろっているか
まとめ
流入の増減は、訪問数ではなく売上への影響で評価します。訪問数が大きく減っていても、購入につながらない訪問であれば、売上への影響は小さいことがあります。売上の増減で並べ替え、訪問数・購入率・単価に分解すると、手を打つべき場所が見えてきます。
あわせて、Unassignedの行の推移も確認します。ECサイトでは、Merchant Centerの srsltid が付いた訪問が振り分けから漏れることがあります。その場合、自然検索の売上は実際より小さく見えます。
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参照元
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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