この記事でわかること
広告の管理画面やGA4の数字は、集計の遅れ、コンバージョンの計上日、後からの補正によって数日〜数週間変わり続けます。指標ごとに数字が締まるまでの日数が違う理由と、自社で締まる日数を測る方法、レポートでの書き分け方を解説します。
生成AIによる要約
直近の数字は、まだ途中の値
広告の管理画面やGA4に並ぶ数字は、すべて同じ確からしさに見えます。しかし、昨日の数字と1か月前の数字では、確定の度合いがまったく違います。直近の数字は、これから増えたり補正されたりする途中の値です。
この違いを意識しないと、判断を誤ります。前日のコンバージョンを見て「落ちた」と対策を考えたのに、2日後には数字が埋まっていた、ということが起きます。月初に出した前月の実績が、後から見ると違っていることもあります。
本記事では、数字が後から変わる理由と、変わる期間を自社で測る方法を整理します。そのうえで、レポートで仮の値と確定した値を分けて扱う方法を紹介します。
数字が後から変わる3つの理由
1. 集計が追いついていない
計測されたデータが管理画面に出るまでには、処理の時間がかかります。
- Google広告: クリック数・表示回数・費用など大半の指標は、1時間ごとに更新されます。コンバージョンは、Google広告のタグでラストクリックなら3時間、ほかのアトリビューションモデルなら15時間遅れます。GA4から取り込んだコンバージョンは、さらに遅れます
- GA4: 標準のプロパティでは、日次データの処理に約12時間かかります。処理に24〜48時間かかる場合があり、その間は数値が変わりえます
- GA4のBigQueryエクスポート: 日次のテーブルは、テーブルの日付から最大2暦日後まで更新されることがあります
集計の遅れは、多くの場合1〜3日で解消します。前日の数字を見るときに、まず気をつけたい点です。
2. コンバージョンが過去の日付に計上される
もう1つの理由は、コンバージョンの計上日です。Google広告の標準の列は、コンバージョンを広告がクリックされた日に計上します。月曜のクリックから金曜に購入があれば、その購入は月曜の数字に加わります。
どこまでさかのぼるかは、計測期間で決まります。Google広告のクリック後の計測期間は、既定で30日です。検索とディスプレイでは、最大90日まで延ばせます。つまり、既定のままでも直近30日の数字は増える余地があります。
Meta広告では、広告セットのアトリビューション設定で、成果として数える期間を選びます。ウェブサイトのコンバージョンなら、リンクのクリックから1日または7日、広告の表示から1日などです。この期間内に起きたコンバージョンが、広告の成果として数えられます。ただし、Metaがコンバージョンをどの日付に計上するかは、ヘルプで確認できませんでした。
なお、コンバージョンが実際に起きた日で見たい場合、Google広告には「コンバージョン(コンバージョンの日時別)」の列があります。こちらは過去の日付が後から増えることはありませんが、費用とは計上日の考え方がずれます。
3. 後から補正が入る
集計が終わった後に、数字が補正されることもあります。
- 無効なクリック: Google広告は、無効なトラフィックを検出すると費用を調整します。請求書の作成前に見つかった分は、レポート上で調整されます。自動システムが審査するのは過去60日間のトラフィックです
- オフラインコンバージョン: 成約データを後から取り込む場合、Google広告ではクリックから90日以内のものをアップロードできます。取り込んだ時点で、過去の数字が増えます
- サーバーからの送信: GA4のMeasurement Protocolでは、最大72時間前までさかのぼったイベントを送れます
指標ごとに、締まるまでの日数が違う
ここまでの理由から、大事なことが1つ分かります。数字が締まるまでの日数は、指標によって違うということです。
費用・クリック・表示回数は、集計の遅れと小さな補正が中心なので、数日で落ち着きます。一方、コンバージョンは計測期間のぶん、数週間にわたって増え続けます。
筆者が関わってきた広告データの取り込みでも、この差ははっきり出ました。ある案件では、費用は直近3日分を毎日入れ直す設計にしていました。一方、コンバージョンはクリック日にさかのぼって計上されるため、計測期間に合わせて30日分を毎日入れ直していました。費用とコンバージョンで、待つべき日数が10倍違うということです。
この差から、もう1つの落とし穴が生まれます。直近の数日は、費用はほぼ出そろっているのに、コンバージョンは入りきっていません。そのため、直近のCPAは悪く、ROASは低く見えます。毎日の数字を並べると、右端だけ成果が落ちて見えるのはこのためです。
自社の「締まる日数」を測る
公式ヘルプからわかるのは、どこまでさかのぼりうるかという上限です。実際に何日で数字が落ち着くかは、商材や購入までの期間によって変わります。そのため、自社のデータで測っておくのが確実です。
測り方は単純です。
- 毎朝、同じ期間(たとえば直近45日)の日別の数字を、そのまま保存する
- 同じ日付の数字が、保存するたびにどう変わったかを並べる
- 「何日前の数字なら、最終的な値の95%に達しているか」を指標ごとに確認する
2〜3週間ぶんのデータがたまれば、傾向が見えてきます。費用が何日で落ち着き、コンバージョンが何日で95%に達するかがわかれば、それが自社の「締まる日数」です。
筆者が見てきた例では、計測期間の上限より早く落ち着く場合も多くありました。ある媒体では、取り込みは直近7日分を書き直していましたが、実測では3日を過ぎればほとんど動きませんでした。上限だけで判断せず、実測することで、待つ日数を必要以上に長くせずに済みます。
レポートでの扱い方
締まる日数がわかったら、レポートに反映します。
速報と確定を書き分ける
直近の数字には、まだ増える余地があることを明記します。表の見出しに「速報」と添える、締まっていない日付の行の色を変える、といった方法があります。読み手が直近の数字を確定値として受け取らないようにするのが目的です。
状態を表す列を持たせる
ダッシュボードを作っている場合は、日付ごとに数字の状態を持たせると便利です。筆者は、費用とコンバージョンそれぞれに、次の3段階を付けています。
- 取り込み中: まだ集計が追いついていない
- 確定待ち: 集計は終わったが、コンバージョンが後から増える余地がある
- 確定: 締まる日数を過ぎた
1つの「確定フラグ」では足りないのは、指標ごとに締まる日数が違うからです。Looker Studioなどでは、既定の表示を「確定」だけにしておき、直近を見たいときだけ他の状態を含めます。
月次の締め方を決めておく
月次レポートは、前月の最終日のコンバージョンがまだ入りきっていない時点で作ることになります。運用の選択肢は2つです。
- 月初は速報として出し、締まる日数が過ぎてから確定版に差し替える
- 締め日を決め、それ以降の増加分は翌月のレポートで注記する
どちらを選ぶ場合も、前月比は同じ締まり具合どうしで比べます。確定した前々月と、締まっていない前月を比べると、前月の成果が実際より悪く見えます。
判断で気をつけること
締まっていない数字で判断を急がないことが基本です。特に次の場面では注意が必要です。
- 前日のコンバージョンの落ち込み: 計上が追いついていないだけのことが多いため、2〜3日待ってから判断する
- 直近のCPA・ROAS: 締まっていない期間を含めると悪く見える。比べるときは締まった期間どうしで比べる
- 自動のアラート: 直近を対象にすると誤報が増える。締まる日数より前の日付を監視の対象にする
運用メモ 社内やクライアントに数字を共有するときは、「○日時点の速報で、今後○%程度増える見込みです」と一言添えます。後から数字が変わっても、説明がしやすくなります。見込みの幅は、自社で測った締まる日数のデータから出せます。
まとめ
広告の数字は、集計の遅れ、コンバージョンの計上日、後からの補正によって変わり続けます。費用は数日で落ち着く一方、コンバージョンは計測期間のぶん数週間増え続けます。
締まる日数は自社のデータで測れます。測った日数をもとに、速報と確定を書き分け、締まった期間どうしで比べることで、途中の数字による判断の誤りを防げます。
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参照元
- データの更新頻度について - Google 広告 ヘルプ
- 計測期間について - Google 広告 ヘルプ
- 新しい列を使ってコンバージョンを日時別に把握する - Google 広告 ヘルプ
- 無効なトラフィックについて - Google 広告 ヘルプ
- オフライン コンバージョンのインポートに関するよくある質問 - Google 広告 ヘルプ
- データの更新頻度 - アナリティクス ヘルプ
- BigQuery Export - アナリティクス ヘルプ
- Measurement Protocol イベントを Google アナリティクスに送信する - Google for Developers
- アトリビューションモデルとアトリビューション設定について - Metaビジネスヘルプセンター
ryottaman
広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。
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