37ヶ月データ制限とは何か
Google広告のデータ保持ポリシーにより、時間別・日次・週次の詳細データ(1ヶ月未満の粒度)は直近37ヶ月分に制限されます。2026年5月1日に発表され、2026年6月1日からすでに適用されています。長期のトレンド分析や前年同月比較を管理画面だけに頼ってきた運用に影響します。まず全体像を押さえましょう。
37ヶ月はおよそ3年強に相当します。保持期間は粒度によって異なり、公式ヘルプでは次のように定められています。
| データ | 保持期間 |
|---|---|
| 時間別・日次・週次(1ヶ月未満の粒度) | 37ヶ月 |
| 月次・四半期・年次 | 11年 |
| リーチ&フリークエンシー指標 | 3年 |
期間を過ぎたデータは管理画面・APIのどちらからも参照できなくなります。対象はGoogle広告管理画面、Google Ads API、Google Ads スクリプト、BigQuery Data Transfer Service、Google Analytics Data APIで、ディスプレイ&ビデオ360やキャンペーンマネージャー360のAPIは対象外です。
適用日をまたいだ現在も、データは37ヶ月の窓を毎月スライドしながら順次参照できなくなっていきます。過去3年分より前のデータを恒常的に参照している場合は、いま保持期間内に残っているデータの退避を急ぐ必要があります。
何が影響を受けるのか
影響は「時間別・日次・週次の詳細データ」に集中します。11年保持される月次以上の集計とは別の話であり、切り分けて考えることが重要です。まず影響範囲を明確にします。
影響が大きい分析
前年同月比を複数年で並べる分析、季節性の年次比較、施策変更前後の長期トレンド確認が代表例です。特にセグメント別(デバイス・地域・時間帯など)の細かい粒度は、期間が過ぎると再取得できません。
リーチ&フリークエンシー指標は保持期間が3年とさらに短い点にも注意してください。動画・ディスプレイの認知施策でリーチ単価の推移を追っている場合は、37ヶ月より先にこちらの制限に当たります。
影響が小さい領域
直近の運用判断は37ヶ月以内で完結するため、通常のPDCAには支障が出にくいです。日々の入札調整やクリエイティブ改善は、過去3年より前のデータをほぼ使いません。
また、月次・四半期・年次の集計データは11年保持されます。「月単位の前年比較」だけであれば当面は管理画面でも継続できるため、慌てて全データを退避する必要はないケースもあります。
優先してエクスポートすべきデータ
ポリシーは既に適用されているため、37ヶ月を超えたデータは参照できません。いま保持期間内にあるデータも毎月順次窓の外へ出ていきます。すべてを保管するのは現実的ではないので、「後から再取得できないもの」「長期比較に使うもの」を優先して退避しましょう。
退避の優先度は次のように整理できます。
| 優先度 | データ種別 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | 日次×キャンペーン/広告グループの主要指標 | 長期トレンド・前年比較の土台になる |
| 高 | セグメント別(デバイス・地域・時間帯) | 期間経過後に粒度を保った復元が不可 |
| 高 | リーチ&フリークエンシー指標 | 保持期間が3年と最も短い |
| 中 | 検索語句レポート | 需要推移の把握に有用だが量が多い |
| 中 | オークション分析・競合指標 | 参考値だが再取得が難しい |
| 低 | 月次・四半期・年次の集計値 | 11年保持されるため急ぐ必要がない |
高優先度のデータから着手し、リソースに応じて中優先度へ広げるのが現実的です。低優先度は無理に退避しなくても運用への影響は限定的です。
エクスポートの具体手順
管理画面からの手動エクスポートと、自動化された連携の2系統があります。データ量と継続性で使い分けます。まずは手動手順から確認しましょう。
管理画面からの手動エクスポート
- Google広告管理画面 → 左メニューの「キャンペーン」など対象レポートを開く
- 期間セレクタで対象期間を指定(月単位での分割を推奨)
- 「セグメント」から日・デバイス・地域など必要な軸を追加
- 右上のダウンロードアイコン → 形式を選択(CSVまたはGoogleスプレッドシート)
- ファイル名に「媒体_粒度_期間」を含めて保管ルールを統一
自動連携での継続保管
継続的にデータを蓄積するなら、BigQuery Data Transfer Serviceが有力です。Google広告のデータを定期的にBigQueryへ転送し、37ヶ月の制限に依存しない保管基盤を作れます。設定後は自動で日次転送されます。
レポート設計を変える
一度エクスポートしただけでは、運用は元に戻ってしまいます。管理画面依存から、自社にデータを蓄積する設計へ移すことが本質です。設計思想を切り替えましょう。
具体的には、日次データを自社側に蓄積し、Looker Studioやスプレッドシートでレポートするフローがベースになります。GASやData Transferで転送を自動化すれば、手動での退避に頼らずに済みます。長期比較の指標もこの基盤に集約します。
移行チェックリスト
やるべきことを漏れなく進めるため、時系列でチェックリスト化します。制限適用前・適用直前・適用後で整理すると抜け漏れを防げます。
| タイミング | やること | 完了 |
|---|---|---|
| 今すぐ | 自社が遡って見る期間の棚卸し | ☐ |
| 今すぐ | 退避対象データの優先順位付け | ☐ |
| 今月中 | 高優先度データの手動エクスポート | ☐ |
| 今月中 | BigQuery Data Transferの設定・バックフィル | ☐ |
| 今月中 | セグメント別データの粒度を保った退避 | ☐ |
| 継続 | 新レポート基盤と旧レポートの数値突合 | ☐ |
| 継続 | 定期転送の稼働監視と保管ルール整備 | ☐ |
このチェックリストをそのまま運用ドキュメントに取り込むと、担当変更時にも引き継ぎやすくなります。定期的に転送が止まっていないかの監視も忘れないようにしましょう。
まとめ
Google広告の37ヶ月データ制限は、長期分析の土台を管理画面の外へ移す契機になります。焦って全データを退避するのではなく、優先順位をつけて計画的に進めることが重要です。
- 時間別・日次・週次データは直近37ヶ月分に制限(2026年6月1日適用済み)
- 月次・四半期・年次は11年保持、リーチ&フリークエンシー指標は3年のみ
- 影響が大きいのは長期の前年比較とセグメント別分析
- 高優先度データから先にエクスポートし、粒度を保つ
- BigQuery Data Transfer等で保持期間に依存しない基盤を作る
- 新旧レポートを並走させて数値の一致を確認する
まず試すべき1アクションは、「自社が実際に何ヶ月前まで遡って数値を見ているか」の棚卸しです。参照範囲が分かれば、退避すべきデータと設計の優先順位が自然と定まります。