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広告運用者は「専門家」であり「サービス業」である

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広告運用の仕事について、「サービス業だ」という言い方を聞くことがあります。サービス業であることに間違いはありません。

クライアントの期待に応える。相手の立場に立つ。言葉にされていないニーズを汲み取る。専門性を振りかざすのではなく、一緒に課題に向き合う姿勢を持つ。これらは確かに大事なことでしょう。

でも、「サービス業」という言葉には少し注意が必要だと思っていて、今回はその話をしたいと思います。

「サービス業」から何を連想するか

サービス業という言葉から何を連想するか。これって人によって全然違うんですよね。

「お客様の期待に応える仕事」と捉える人もいれば、「お客様の言う通りにする仕事」と捉える人もいる。後者の意味で受け取られると、専門家としての価値が曖昧になってしまう。

クライアントは何にお金を払っているのでしょうか。「面倒なことをやってくれるから」だけじゃないですよね。自分たちにはない専門知識と経験を持っているから、代理店に依頼しているわけです。

覚えておいてほしいのは、僕たちの仕事は知識労働だということです。だからこそ、知識ではイニシアチブを取らなければいけないし、クライアントより詳しくいる必要が常にある。「サービス業だから」と言って、そこを曖昧にしてしまうのは違うんじゃないかと思うのです。

だから僕は、「サービス業である」ことと「専門家である」ことは、どちらかを選ぶ話ではなく、両立させるべきものだと考えています。

専門家としての引き出し(土台)どう伝えるか・どう寄り添うかクライアントの信頼

専門家だからこそ「応える」ことができる

クライアントの期待に「応える」ためには、専門知識が必要です。

たとえば、「最近リターゲティングの効率が落ちてきた」という相談を受けたとします。

「そうですね、市場全体の傾向ですね」と事実を伝えるだけでは、応えたことにはならない。「他の配信手法でカバーする方向を考えています」と代替案を提示できて、初めて応えたことになる。

でも、代替案を出せるのは専門知識があるからなんですよね。他の配信手法を知らなければ、「なんとかしたい」という気持ちがあっても何も提案できません。

「応える」姿勢は重要です。でも、「応える」ための手札は、専門性から生まれる。順序としては、まず専門家としての引き出しがあって、その上で「どう伝えるか」「どう寄り添うか」というコミュニケーションの話になるのだと思います。

「横に座る」ためには信頼が必要

クライアントとの理想的な関係性として、「対面ではなく、横に座る」という言い方があります。

対面で向き合うのではなく、横に並んで一緒に問題を眺める。クライアントの達成したいゴールを、一緒に解決してくれるポジションを取る。これは理想的な関係性だと思います。

でも、この「横に座る」ポジションを得るためには、専門家として信頼されていることが前提になるんですよね。素人同士が横に並んでも、問題は解決しません。「この人に聞けば何か出てくる」という信頼があるからこそ、クライアントは本音を話してくれる。

専門性への信頼がベースにあって、その上でコミュニケーションが活きる。この順番を間違えてはいけないと思っています。

最大の価値は「クライアントの思考を減らす」こと

広告運用者の価値について考えるとき、僕が一番重要だと思っているのは「クライアントの思考を減らす」ことです。

クライアントが「どうすればいいか」を考える負担を軽減する。選択肢を整理し、判断しやすい形で提示する。「任せておけば大丈夫」という安心感を提供する。

これは「サービス業」の要素でもあり、「専門家」だからこそできることでもあります。専門知識がなければ、選択肢を整理することも、判断材料を提示することもできませんから。

「この人に任せておけば、自分は本業に集中できる」。そう思ってもらえる存在になること。それが広告運用者としての最大の価値なのではないかと思っています。

クライアントのニーズとは何か

ここで「クライアントのニーズ」について考えてみます。

僕たちがクライアントに対してやるべきことは何かと考えると、クライアントのニーズを探り、それを達成するために必要なことを全部洗い出すことだと思うのです。

クライアントのニーズとは何か。多くの場合、売上の最大化です。あるいは、担当者の方にとっては、自分の評価に繋がるKPIの達成かもしれない。そこを理解した上で、何が必要かを考える。

そう考えると、必ずしも広告という選択肢だけにはならないこともあります。SNSやSEO、PR、あるいはプロダクト改善の提案かもしれない。広告代理店なのに広告以外を提案するのか、と突っ込まれるかもしれないけれど、クライアントの目標達成のために必要なら、それでいいんじゃないかと思っています。

目先の利益より、信頼という複利

広告代理店のビジネスモデルは、広告費が上がれば手数料も増える構造です。だから、目先の利益を考えれば、広告費を増やす提案をしたくなる。

でも、それがクライアントの本当の目標達成に貢献しているかは別の話なんですよね。

本当に考え抜いた提案は、信頼として返ってきます。認知が拡大して、結果的に広告の獲得効率が上がり、予算が拡大することもある。目先の小さな利益よりも、信頼という複利のほうが、長い目で見れば大きいはずです。

これこそが「サービス業」という言葉の本当の意味だと僕は理解しています。お客様の言いなりになることではなく、お客様の成功にコミットすること。

まとめ

「サービス業だ」という言い方は、専門性に自信を持っている人ほど陥りがちな罠への警鐘としては正しいと思います。正論を言えばいいわけじゃない、相手の立場に立つ姿勢が必要だ、という指摘は重要です。

でも、専門性とサービス業は二項対立ではないんですよね。専門家だからこそ「応える」ことができる。専門家として信頼されているからこそ「横に座る」ことができる。

広告運用者は「専門家」であり「サービス業」である。どちらかではなく、両方。その自覚を持って、クライアントと向き合っていきたいと思っています。

広告運用に携わるすべての人が、専門家としての誇りを持ちながら、クライアントの成功にコミットできる。そんな業界であってほしいと願っています。

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