AIとの相談が、新しい広告在庫になる|Agent i・ChatGPT広告・GoogleのAI検索で変わる接点

この記事でわかること

Agent i、ChatGPT広告、GoogleのAI検索で進む広告接点の変化を整理。提供状況の違いから、商品情報・LP・効果測定で運用者が備えたいことまで解説します。

生成AIによる要約

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広告の配信先に、AIとの相談画面が加わり始めています。

LINEヤフーの「Agent i」、ChatGPT広告、Google検索のAIモード。提供段階や仕組みは異なりますが、共通するのは、人がAIに相談しながら選択肢を絞る場面に、企業との接点を設けていることです。

広告運用の視点では、新しい掲載面が増える動きとして捉えられます。ただし、そこで起きている変化は掲載先の追加にとどまりません。何を買うかがまだ決まっていない相談から、商品の比較、購入前の質問まで、広告が関われる場面が広がっています。

この記事では、公式情報で確認できる動きと、そこから考えられる実務上の変化を分けて整理します。情報の確認日は2026年9月17日です。

まず、3つの動きを同じ段階として扱わない

ここでいう「広告在庫」は、媒体が広告を表示できる機会や掲載面のことです。新しい在庫が生まれても、広告主がその面だけを指定して購入できるとは限りません。

サービス・掲載面公式情報で確認できる動き実務上の見方
Agent i既存のショッピング広告・ディスプレイ広告から配信。課金開始済み既存広告の掲載先がAIとの対話へ拡張。Agent i単独の配信指定は不可
ChatGPT広告広告に加え、クリック後に企業のエージェントと会話するSponsored Agentsを発表通常の広告と、米国の一部広告主で試験中の新体験を区別
Google検索のAIモード広告のテストやDirect Offersの試験を公式発表AI検索内の商用接点として捉える。日本での利用可否は別途確認
Geminiアプリ上記のGoogle検索とは別のサービスAIモードの広告発表を、そのままGeminiアプリの広告提供と解釈しない

各行の根拠と発表時点は、以下で説明します。GoogleのAIによる概要(AI Overviews)も、AIモードとは別の掲載体験です。

Agent i:既存広告が、対話の文脈に配信される

LINEヤフーは9月1日、Agent iでの広告配信拡大と課金開始を発表しました。ショッピング広告は8月31日から配信拡大と課金を開始。ディスプレイ広告(運用型)は7月23日から課金されており、発表時点では一部ユーザーへの配信です。

対象の既存広告は、条件に応じてAgent iにも配信されます。ただし、広告主がAgent iを配信先として個別指定することはできません。LINEヤフー公式発表

運用者にとっては、専用キャンペーンを新設する話だけでなく、今動かしている広告の掲載環境が変わる話でもあります。配信面の追加を把握し、確認可能なレポートや除外設定の範囲を調べておく必要があります。

ChatGPT:広告の先に、企業との会話を置く

OpenAIが9月16日に発表したSponsored Agentsは、広告をクリックした利用者が、企業のスポンサー付きエージェントと会話できる体験です。米国の一部広告主で試験されています。

この会話はスポンサー付きであることが明示され、ChatGPTの独立した回答や、利用者が最初に始めた会話とは分離されます。質問を重ね、必要に応じて企業サイトへ進む構造です。OpenAI公式発表

ここから考えられるのは、広告を見た後の疑問を、サイト訪問前にも解消できる可能性です。実現した場合、広告文の出来だけでなく、価格や仕様、利用条件を正しく説明できる情報の整備も、接客の品質を左右します。

Google:「Gemini検索」は、掲載面を具体的に分ける

Googleは1月11日の公式発表で、検索のAIモードにおける広告テストと、購入意向のある利用者に特典を提示する「Direct Offers」の試験を紹介しています。同じ発表には、AIモードやGeminiアプリでの商品購入に関する取り組みも含まれますが、購入機能と広告枠は別の話です。Google公式発表

この記事では、確認できた広告の動きを「Google検索のAIモード」と表記します。1月の試験発表を根拠に、9月時点で日本の全広告主が利用できるとは判断しません。

また、AIによる概要の内部に表示される広告には、通常の検索結果上の広告とは異なる対象国・言語などの条件があります。「AI検索が使える地域」と「その内部に広告を配信できる地域」は分けて確認します。Google広告ヘルプ

新しくなるのは、ユーザーが条件を整理している最中の接点

ここからは、各社の動きを踏まえた考察です。

例えば、ダイニングテーブルを探す場面を考えます。検索窓には「ダイニングテーブル 4人」と入力していた人が、AIには次のように相談するかもしれません。

「普段は4人で使うけれど、週末には6人になる。部屋は広くない。子どもがいるので、汚れを落としやすいものがいい」

この相談には、人数、設置スペース、手入れという複数の判断条件が含まれています。対話を重ねれば、伸長式が適しているのか、どの素材が候補になるのかまで具体化できます。

従来の検索広告でも、検索意図や文脈は考慮されてきました。AIとの対話では、利用者が追加の条件を伝えながら、選ぶ基準そのものを整理できる点に特徴があります。

広告が接点を持つ相手は、買いたい商品を言い当てられる人だけでなく、何を選べばよいかを相談している人にも広がり得ます。

もっとも、相談が詳しいからといって、すぐに買うとは限りません。また、媒体が会話の文脈を利用することと、広告主が会話全文を閲覧できることも別です。購買意欲や取得可能なデータを過大に見積もらないことが大切です。

広告運用で見直したい3つのこと

1. 商品名に加えて「選ぶ条件」に答える

対話の内容に商品を対応させるには、その商品の特徴が伝わる情報が必要です。これは特定媒体への掲載を保証する方法ではなく、広告や接客を支える情報整備の方針です。

利用者が知りたいこと用意したい情報
自分の環境で使えるか寸法、設置条件、対応機種、対象地域
他の商品と何が違うか用途ごとの違い、向いている人、制約
総額と納期はどうなるかオプション費、送料、在庫、配送予定
購入後に困らないか手入れ、保証、返品・交換条件

まず商品ページとフィードの価格・在庫・仕様を一致させ、そのうえで不足する説明を補います。フィードへの入力は各媒体の対応項目に従い、FAQなどはサイト上でも読み取りやすく整理します。

「高品質」「豊富な品ぞろえ」といった広い訴求だけでは、個別の相談への回答になりにくいからです。

2. LPでは、広告で示した条件の答えをすぐに見せる

仮に、利用者が「狭い部屋でも6人で使える」という条件で商品を検討していたとします。クリック先でブランド紹介を長く読まないと寸法が分からなければ、判断は止まってしまいます。

LPでは、広告で示した用途や条件を確認できる情報を早めに見せます。先ほどの例なら、通常時・伸長時の寸法、椅子を引くスペース、配送や組み立ての条件です。

会話データを受け取れなくても、広告で約束した内容とLPの情報はそろえられます。商品詳細ページの改善が有効な場合もあり、すべての相談に専用LPを作る必要はありません。

3. 媒体の成果と、事業全体の成果を分けて見る

新しい掲載面でコンバージョンが発生しても、それだけで新しい需要を獲得したとはいえません。従来は検索広告や自然検索から購入していた人の接点が移った可能性もあるためです。

検証では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. どの掲載面へ配信され、その内訳をどこまで確認できるか。
  2. 何をCVとし、クリック・表示後のどの期間を集計しているか。
  3. 新規顧客、有効商談、粗利など、事業成果がどう変わったか。

広告主側のアクセス解析で分かるのは、主にサイトへ到達した後の行動です。AI上の相談や広告閲覧をすべて把握できる前提では、評価を設計できません。

媒体別の成果を単純に足し合わせず、同じ集計条件で推移を確認します。規模と配信制御が許す場合には、地域差や対照群を使った検証も検討します。面を個別指定できない場合は、AI面単独の効果を切り出せない限界を明記します。

新しい在庫は、新しい需要と同義ではない

AIとの相談画面が広告在庫になることは、広告主にとって接点の拡張です。一方で、それを理由に従来媒体から一律に予算を移す根拠は、まだありません。

同じ人が、検索、SNS、AIへの相談を行き来する可能性があります。新しい面のCVが増えていても、事業全体の購入が増えているかは別に確かめる必要があります。

また、広告として表示されること、AIの回答で自然に紹介されること、AIを通じて購入できることは、それぞれ異なる仕組みです。広告費を払えば独立した回答で推薦される、という理解も適切ではありません。

今、準備しやすいのは、自社の商品がどんな相談に応えられるのかを整理することです。

価格、仕様、在庫、利用条件を正しくそろえる。広告から遷移した先で、購入判断に必要な情報を見つけやすくする。成果を集計する条件を明確にする。

こうした準備は、AI面の拡大を待たず、既存の広告やサイトにも役立ちます。新しい掲載先を追いながら、そこで何を説明し、どう成果を確かめるかまで整えておきたいところです。

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ryottaman

ryottaman

広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。

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