「効果がなかった」と切った施策は、本当に効果がなかったのか

この記事でわかること

  • 認知施策の効果は配信後も続く「繰越効果」があるため、短期の測定窓だけで判断すると本当の効果を見落とします。
  • 獲得直結の施策より認知施策ほど効果の裾野が長く伸びやすく、自動入札の学習期間と購買サイクルを超えた検証期間が必要です。
  • 認知施策を獲得指標だけで測ると「効果がない」と「測れていない」を区別できず、誤った判断で施策を切り続けるリスクがあります。

生成AIによる要約

目次開く閉じる

配信して2週間で止めた動画キャンペーンのことを、今でもたまに思い出します。

指名検索を増やす狙いで回した施策でした。ところがレポートを見ると、直接のコンバージョンはほとんど付いていません。CPAの欄には見たくない数字が並んでいました。

僕は「効果がなかった」と判断して、そのキャンペーンを止めました。予算を検索に寄せた方が合理的に思えたからです。上司にもそう報告しました。

その1ヶ月後、指名検索の表示回数が緩やかに伸びていることに気づきました。止めた動画と関係があるのか、たまたまなのか。当時の僕には切り分ける準備が何もありませんでした。

広告の効果は、配信を止めた瞬間に消えるわけではない

このとき僕が見落としていたのが、広告の繰越効果です。

英語圏では「adstock(アドストック)」と呼ばれます。広告に触れた影響が、その瞬間だけでなく後の期間にも残るという考え方です。もともとは1970年代末、Simon Broadbent氏がテレビ広告の分析の中で用いた言葉とされています(出典: Wikipedia「Advertising adstock」)。

要点はシンプルです。今週配信した広告の効果の一部は、来週や再来週の行動として現れる。時間が経つほど影響は薄れていく。この「残って、薄れていく」性質が、測定を難しくします。

配信した期間効果の裾野(時間とともに減衰)短い測定窓時間 →

短い測定窓で切ると、裾野の部分がまるごと視界の外に落ちます。僕が2週間で見た数字は、効果の全体像ではなく最初のひとかけらだったわけです。

これはあくまで考え方のモデルであって、すべての広告に同じ強さで当てはまるものではありません。ただ、獲得直結の検索広告よりも、認知やブランドに寄った施策ほど裾野が長く伸びやすい。そこは意識しておいて損はないと思います。

検証期間は「学習期間の外側」で考える

では、どれくらい待てばいいのか。ここに絶対の正解はありません。ただ、期間を決めるときの物差しはいくつかあります。

ひとつは、自動入札の学習期間です。配信初期は最適化が安定していません。学習が終わる前の数字を成果として読むのは、フォーム提出直後の返信を評価に使うようなものです。

もうひとつは、購買サイクルの長さです。検討に2週間かかる商材を、配信2週間で判断するのは早すぎます。触れてから動くまでのラグを、測定窓の中に収める必要があります。

僕は今、施策を始める前に「最短でいつ判断するか」を先に決めるようにしています。走り出してから「もう少し様子を見よう」と延ばすと、判断が感情に引きずられるからです。停止のラインを事前に引いておく。これだけで判断の質が変わりました。

止める前に、確認すべき条件がある

数字が悪いから止める。その前に確認したい条件を、自分用のチェックとして持つようにしました。

まず、その施策の役割が獲得なのか、認知なのかをはっきりさせます。役割によって見るべき指標が変わるからです。獲得施策ならCPAで見てよい。認知施策をCPAだけで裁くと、たいてい間違えます。

次に、十分なデータ量が溜まっているかを見ます。コンバージョンが数件しかない状態のCPAは、ほぼ運です。A/Bテストと同じで、判断には最低限の母数が要ります。

そして、指名検索やサイト直接流入など、間接的な兆候が動いていないかを確認します。直接コンバージョンがゼロでも、後ろの指標が反応していれば、効果の裾野が伸びている可能性があります。ここを見ずに止めると、僕が犯したのと同じミスになります。

この3つを通っても数字が改善しないなら、そのときは止めていい。判断そのものを否定したいわけではありません。順番と根拠を持ちたい、という話です。

認知施策を獲得指標だけで採点しない

いちばん伝えたいのはここです。認知を狙った施策を、獲得の物差しだけで測るのは危うい。

認知施策の仕事は、まだ動く準備ができていない人の記憶に、ブランドの手がかりを置くことです。その手がかりが、後日の指名検索や比較検討のときに効いてくる。効果が現れるのは、配信のずっと後ろかもしれません。

だから測る指標も、獲得の直後だけを見ていては足りません。ブランドリフト調査で認知の変化を測る。地域を分けて増分効果を検証する。そうした獲得指標の外側の物差しを、あらかじめ用意しておく必要があります。

僕があの動画を止めたとき、指名検索を追う準備も、増分を測る設計もありませんでした。だから「効果がなかった」のか「測れていなかった」のかを、区別できなかった。この2つはまったく違います。

区別できないまま下した「効果がなかった」は、判断ではなく推測です。そして推測で切った施策は、翌年また同じ理由でスキップされていきます。

明日の一手として、ひとつ問いを置いておきます。いま止めようとしているその施策は、本当に効果がなかったのか。それとも、効果を測る足場をまだ持っていないだけなのか。

関連記事

この記事をシェア

参照元

この記事をAIと深掘りする

要約・疑問の解消に。記事のタイトル・URL・参照元を入れた質問文が自動で入力されます。

ryottaman

ryottaman

広告代理店で17年、現在は事業会社でインハウスマーケティングを担当しています。

SIGNALZの記事はAIを活用して作成し、10年以上の運用型広告の実務経験をもとに内容を確認・監修しています。制作方針の詳細はサイトについてをご覧ください。

この記事について感想やご質問を送れます

誤りの指摘、補足情報、ご質問など、お気軽にどうぞ。

Google検索の優先ソースにSIGNALZを追加

追加すると、Google検索のトップニュースでSIGNALZの記事が見つけやすくなります。AIモードとAIによる概要でも「優先」バッジが付きます。設定はいつでも解除できます。

追加する